「スパゲティ化」どころか「ヤマタノオロチ化」したITシステムをどう再生するか IPAが「DX実践手引書」を公開:DX推進担当者を技術面から支援
IPAは「DX実践手引書 ITシステム構築編」を公開した。DXの実現に向けたITシステムのあるべき姿と、その技術要素を解説した。DX推進担当者が自社のITシステムをどのように変えるべきかについての検討を技術的側面から支援する。
情報処理推進機構(IPA)は2021年11月16日、「DX実践手引書 ITシステム構築編」を公開した。IPAのWebサイトでダウンロードできる。
同書は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けたITシステムのあるべき姿と、その技術要素を解説しており、これからDXに取り組み始める、または取り組みの途中にある担当者向けの内容となっている。IPAは「DX推進担当者が自社のITシステムをどのように変えるべきかについての検討を技術的側面から支援する」としている。
「害となっていた存在を価値のある存在に変化させてほしい」
手引書は、全3章で構成される。
第1章は「DXを実現するための考え方」として、「目指すべきビジョンの共有」「挑戦しやすい組織環境」「DXの実践を支える人材」といった要素について解説している。
第2章は「DXを実現するためのITシステムのあるべき姿」として「社会最適」「データ活用」「スピード・アジリティ」の3要素を示し、それらの特徴を解説している。第3章は、DXへの具体的な技術的アプローチとして「データ活用」「マイクロサービス」「現行システムからの段階的移行の方法論」を示し、その考慮点や事例などを紹介している。
この手引書の最大の特徴は「スサノオ・フレームワーク」を図示したことだとIPAはいう。スサノオ・フレームワークは、DX先進企業22社に実施したヒアリング調査を基に、DXを実現するためのITシステムとそれを構成する技術要素群の全体像をまとめたもの。
IPAは、複雑化、肥大化したモノリシックなシステムを「ヤマタノオロチ」に例え、「1つ1つ切り離して、使える部分は形を変えて再生させることで害となっていた存在を価値のある存在に変化させてほしい」としている。
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