クエリ実行中に発生した待機情報をセッションごとに出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(72)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、クエリ実行中に発生した待機情報をセッションごとに出力する方法について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_exec_session_wait_stats」における、クエリ実行中に発生した待機情報をセッションごとに出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2016以降です。
概要
SQL Serverでは、クエリ実行などの要求はタスクに割り当てられます。タスクは、単一または複数のスレッドに割り当てられて実行されます。
タスクを処理するそれぞれのスレッドでは、ネットワークやディスクI/Oの完了待ち、ロックの獲得待ち、他のスレッドへのCPUの割り振りなど、さまざまな要因で待機が発生することがあります。
SQL Server 2016以降では、「sys.dm_exec_session_wait_stats」動的管理ビューを使用することで、現在存在するセッションで発生した待機について、セッションや種類ごとの発生回数や時間などの累積情報を取得できます。そのため、この動的管理ビューを採取して解析することで、ボトルネックになっている箇所を特定し、パフォーマンス改善につなげられる可能性があります。
なお、SQL Server 2014以前では、「sys.dm_exec_session_wait_stats」動的管理ビューは使用できませんでしたので、セッションごとの待機の累積発生状況を確認する方法はありませんでした。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
session_id | smallint | セッションID |
wait_type | nvarchar(60) | 待機の種類の名前 詳細は「sys.dm_os_wait_stats」を参照 |
waiting_tasks_count | bigint | 該当する待機の種類における待機を開始した回数 |
wait_time_ms | bigint | この待機の種類の合計待機時間(ミリ秒単位) 「signal_wait_time_ms」が含まれる |
max_wait_time_ms | bigint | この待機の種類における最大待機時間 |
signal_wait_time_ms | bigint | 待機スレッドがシグナルを受け取ってから実行を開始するまでの合計待機時間(ミリ秒単位) |
動作例
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