拡張イベントセッションのオブジェクトの構成値に関する情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(87)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、拡張イベントセッションのオブジェクトの構成値に関する情報を出力する方法について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_xe_session_object_columns」における、拡張イベントセッションのオブジェクトの構成値に関する情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。
概要
SQL Serverでは拡張イベント(XEvent)の機能を使用することで、SQL Serverの内部で発生したイベントや付随する情報を記録し、パフォーマンス問題の解析や問題の原因特定に必要なデータを収集できます。
類似の機能として、以前からSQL Serverトレースがありました。拡張イベントはより新しい機能となり、採取パフォーマンスの改善や対象のイベント、収集できる情報の増加、記録方法の選択肢の増加がなされました。
拡張イベントを収集するには、あらかじめ拡張イベントセッションを構成して、採取対象とするイベントや含める情報、記録先であるターゲットなどを設定しておく必要があります。そして、拡張イベントを採取する期間にあわせて、拡張イベントセッションを開始、停止します。
「sys.dm_xe_session_object_columns」では拡張イベントセッションのオブジェクトの構成値に関する情報を出力します。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
event_session_address | varbinary(8) | イベントセッションのメモリアドレス |
column_name | nvarchar(256) | 列の名前 |
column_id | int | 列のID |
column_value | nvarchar(3072) | 列の構成値 |
object_type | nvarchar(60) | オブジェクトの型。次のいずれかになる event target |
object_name | nvarchar(256) | この列が所属するオブジェクトの名前 |
object_package_guid | uniqueidentifier | オブジェクトを含むパッケージのGUID |
動作例
拡張イベントが設定されているSQL Serverで「sys.dm_xe_session_object_columns」を実行すると、拡張イベントセッションのオブジェクトの構成値に関する情報が出力されました(図1)。
「event_session_address」列のセッションごと、「object_name」列のイベントごとに「column_name」列と「column_value」列で構成値が設定されています。2行目では「event_file」の出力ファイル名として「system_health.xel」が設定されていることが確認できます。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 RTM」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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