ジュニパーがDCネットワーク構築自動化ツールApstraで小規模DCに対応:DCネットワーク移行サービスも開始
ジュニパーネットワークスは、企業のデータセンターにテクノロジー企業のようなネットワークを手間なく導入できる自動化ツール「Apstra」で、エッジを含む小規模データセンターに対応した。合わせてデータセンター移行のプロフェッショナルサービスを発表した。
ジュニパーネットワークスは2022年3月29日、企業のデータセンター(以下、DC)におけるネットワークをテクノロジー企業のような拡張性、柔軟性、管理性に優れたものに変身させるツール「Juniper Apstra(以下、Apstra)」で、小規模なデータセンターへの対応を発表した。DCネットワークのゼロトラスト化関連機能も強化した。また、ジュニパーはDCネットワーク移行のプロフェッショナルサービスも始めた。
Apstraは、同名のスタートアップ企業を買収したJuniper Networksが、2021年初めから提供しているツールで、テクノロジー企業と同様なDCネットワークの構築を自動化する。日本ではYahoo! Japanがユーザーとして知られているが、一般企業でも利用可能。
テクノロジー企業は、DCスイッチをリーフ/スパインの2段構成とし、BGPで拡張性を確保すると共に、EVPN-VXLANによるネットワーク仮想化を適用し、フラットなネットワークの使い勝手を実現している。だが、こうした構成は技術的に複雑で時間がかかり、間違いが起こりやすい。
Apstraはこの構成プロセスを自動化する。テンプレートが用意されていて、これに各ラックで消費するネットワーク帯域などの大まかなリソース要件を指定するだけで、DCネットワークの設計から構築までを自動的に行う。スイッチを手動で個別に設定する必要はない。ネットワークの構築に要する時間は大幅に短縮され、間違いも防げる。構築後のネットワーク拡張・縮小も自動化できる。
いったん構築したネットワークのチェック機能も備える。あるべき姿としての構成情報を保持しているため、例えば誤った設定が投入されると警告するようになっている。さらにトラフィックの可視化や異常検出、障害の根本原因分析といった機能も備える。
Apstraはもともと、マルチベンダーに対応したツールだった。 Juniperに買収されたが、以前と変わらず、対応する全てのベンダーのスイッチを同等に扱うという。複数ベンダーのスイッチを組み合わせたデータセンターネットワークの構築も可能。
既存DCネットワークからの移行を支援するサービスも
今回の発表では、まず小規模なDCネットワークに対応した。多数のエッジDCに対し、同一の構成を適用できる。また、スイッチをリーフ/スパイン構成にするほどではない小規模な一般DCに適用できる。スイッチ2台構成から利用可能。こうしたDCのネットワーク構築自動化や正しい構成の維持、トラフィックの分析などができる。
また、DCネットワークのゼロトラスト化に関連する機能を強化した。ジュニパーは、DCネットワークにマイクロセグメンテーション、分散ファイアウォールを投入するなど、ネットワークセキュリティをきめ細かく管理できるソリューションを展開している。今回の発表で、Apstraではマルチテナント環境での接続制限、階層的なRBACなどをポリシーとしてきめ細かく適用できるようになったという。
さらにジュニパーは今回、DC移行のプロフェッショナルサービスを発表した。Apstraを使って、短い構築期間とダウンタイムでクラウド的なDCネットワークへ移行できるという。
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