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フルテキストクロールで使用される共有メモリプールの情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(101)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、フルテキストクロールで使用される共有メモリプールの情報を出力する方法について解説します。

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_fts_memory_pools」における、フルテキストクロールで使用される共有メモリプールの情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。

概要

 SQL Serverではフルテキスト検索の機能を使用して、英語や日本語などの特定の言語の規則に基づいた言語検索を実行できます。フルテキスト関数を使用して、大量のテキストデータを対象としたテキスト検索をする場合、全文検索を行うLIKE句と比較して高速に実行できます。フルテキスト検索では、フォーマットされたバイナリデータ(Microsoft Wordドキュメントなど)を対象とすることもできます。

 フルテキスト検索を使用するには、SQL Serverインスタンスに「検索のためのフルテキスト抽出とセマンティック抽出」機能を追加する必要があります。また、データベースにフルテキストカタログを作成し、対象のテーブルに対してフルテキストインデックスを作成する必要があります。

 フルテキスト検索では、SQL Serverプロセス(sqlservr.exe)以外に、フィルターデーモンホストプロセス(fdhost.exe)が使用されます。フィルターデーモンホストプロセスは、SQLフルテキストフィルターデーモンランチャー(SQL Full-text Filter Daemon Launcher)サービスによって起動され、SQL Serverのフルテキスト検索でドキュメントからテキストを抽出するフィルター処理やテキストの単語区切り処理をします。

 「sys.dm_fts_memory_pools」動的管理ビューでは、SQL Serverプロセスとフィルターデーモンホストプロセスとの共有メモリプールに関する情報を出力できます。

出力内容

列名 データ型 説明
pool_id int 割り当てられたメモリプールのID
 「0」=Small buffers
 「1」=Large buffers
buffer_size int メモリプールに割り当てられる各メモリバッファーのサイズ
min_buffer_limit int メモリプールで許可されるバッファーの最小数
max_buffer_limit int メモリプールで許可されるバッファーの最大数
buffer_count int メモリプールに割り当てられているメモリバッファーの数

動作例

 フルテキストカタログが構築中ではない状態で、「sys.dm_fts_memory_pools」動的管理ビューを出力します。共有メモリプールの一覧が表示されましたが、割り当てられたメモリバッファーは「0」の状態でした(図1)。

図1
図1 フルテキストカタログ構築中でないため、バッファーは割り当てられていなかった

 次に、フルテキストカタログの構築中に「sys.dm_fts_memory_pools」動的管理ビューを出力します。クロールの実行により、割り当てられたバッファーが増加しました(図2)。

図2
図2 クロールの実行により「buffer_count」列の値が増加した

 「sys.dm_fts_memory_buffers」動的管理ビューも併せて出力することで、共有メモリプールに割り当てられたメモリバッファーの詳細も確認できます(図3)。

 「buffer_size」列の値は、メモリプールに割り当てられた個別のメモリバッファーで使用されるメモリの上限となっていそうなことが分かります。

図3
図3 「sys.dm_fts_memory_buffers」動的管理ビューで割り当てられたメモリバッファーを確認できる

 「ft notify bandwidth(max)」と「ft crawl bandwidth(max)」サーバ構成オプションを指定することで、「Small buffers」「Large Buffer」の2つのメモリプールの「max_buffer_limit」列の値が、サーバ構成オプションで指定した値に変更されました。共有メモリバッファー数の上限は、これらの設定によって決まるようです(図4)。

図4
図4 「sp_configure」で設定した値に「max_buffer_limit」列の値が変更された

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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