Gartner、2025年までに3つの環境サステナビリティ技術が主流として普及し始めると予測:クラウドサステナビリティ、温室効果ガス排出量測定、電力網管理
Gartnerは、「クラウドサステナビリティ」「カーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)測定」「高度なグリッド(電力網)管理ソフトウェア」という3つの環境サステナビリティ(持続可能性)技術が、1〜3年以内に主流として普及し始めるとの見通しを示した。
Gartnerは2022年4月21日(米国時間)、「クラウドサステナビリティ」「カーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)測定」「高度なグリッド(電力網)管理ソフトウェア」という新たに台頭しつつある3つの環境サステナビリティ(持続可能性)技術が、1〜3年以内に主流として普及し始めるとの予測を発表した。
Gartnerのリサーチバイスプレジデントを務めるアネット・ジマーマン氏は、次のように述べている。「環境のサステナビリティは、一部の産業だけの責任ではない。ネットゼロ(※)エコノミーへの移行は、産業革命やデジタル革命に匹敵する破壊的な影響をもたらすことから、新しい技術、ビジネスモデル、戦略、プロセスが必要になる」
※カーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)が正味ゼロであることを指す。
ネットゼロの未来への道は、持続可能なビジネスを可能にする基盤技術を開発する技術やサービスのプロバイダーに新たな機会をもたらすと予想される。Gartnerは、環境サステナビリティに最も直接的な影響を与える新興技術として前述の3つを挙げ、次のように解説している。
クラウドサステナビリティ
クラウドサステナビリティは、クラウドサービスを使用して経済、環境、社会システムにおけるサステナビリティを実現することを指す。クラウドサービスプロバイダーによるクラウドサービスの持続可能な運用と提供、およびクラウドサービスの持続可能な消費と使用から構成される。
「パブリッククラウドサービスは、IT運用の一元化や、共有サービスモデルによる大規模な運用が可能なので、コンピューティング効率を高めることができる。このため、サステナビリティの大きな可能性を提供する。パブリッククラウドプロバイダーは、クラウドデータセンターを再生可能エネルギー源の近くに物理的に移動するなど、サステナビリティに投資するユニークな能力も持っている」(ジマーマン氏)
クラウドプロバイダーは今後3年間に、「透明性のある気候戦略と明確なロードマップを持たなければならない」というプレッシャーにますますさらされそうだ。Gartnerは2025年までに、ハイパースケールクラウドサービスの二酸化炭素(CO2)排出量が、クラウドサービス購入の判断基準のトップ3になると予想している。
カーボンフットプリント(温室効果ガス排出量)測定
カーボン(炭素)フットプリント(足跡)は、「人間の活動によって発生するCO2排出量」と定義されている。特定の技術製品やサービスのカーボンフットプリントは、3つの排出範囲を含んでいる。
- スコープ1:所有または管理する排出源からの直接排出
- スコープ2:購入エネルギーの生産における間接排出
- スコープ3:当該企業のバリューチェーンで発生する全ての間接排出(スコープ2に含まれない)。上流と下流それぞれの排出を含む
スコープ3の排出量は測定が最も難しいが、企業によっては総排出量の95%以上を占める場合もある。Gartnerは、企業が3種類の排出量全てに焦点を当て、報告の透明性を高めるにつれて、カーボンフットプリント測定技術の導入が大きく進むと予想している。こうしたツールの成長は、データ収集の量、質、適時性を高めるIoT対応環境センサーの普及に支えられる見通しだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 次のWi-Fiはどうなる? IoTでの利用拡大を狙う
Wi-Fi Allianceは、IoTにおけるWi-Fiの利用拡大を目指し、「IEEE 802.11ah」標準(Wi-Fi HaLow)に準拠した製品の認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED HaLow」を開始した。IoTや産業用IoT環境などに向く技術だ。 - 「コスト削減を目的にしたクラウド移行は競争優位性を低下させる」 アクセンチュアがクラウドに関する調査
アクセンチュアは、クラウドに関する企業調査レポートで、コスト削減を目的としてクラウドに移行している企業は、戦略的にマルチクラウド化を推進している企業よりも競争優位性が低下すると指摘した。 - 「これまで以上に安定した配送ができる」システムをアルフレッサとヤマト運輸が開発
アルフレッサとヤマト運輸は、ビッグデータとAIを活用した、配送業務量を予測するシステムと配車計画を自動作成するシステムを開発し、導入を開始した。配送生産性を最大20%向上させることができ、走行距離とCO2排出量を最大25%削減できるという。