インデックスが欠落している列に関する情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(117)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、インデックスが欠落している列に関する情報を出力する方法について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理関数「sys.dm_db_missing_index_columns」における、インデックスが欠落している列に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)、「Azure SQL Database」です。
概要
SQL Serverでは、テーブルやビューにインデックスを作成することで、効率的にデータ検索やテーブル間の結合を実行できます。データ検索やテーブル間の結合に適したインデックスが作成されていない場合には、データ検索のためにテーブルのデータ全体を読み込む必要があり、クエリの実行は非効率なものとなります。
SQL Serverでは、クエリのコンパイル時に、クエリに適したインデックスが不足していること(欠落インデックス)を検出する機能があります。検出された欠落インデックスはSQL Server Management Studio(SSMS)でクエリの実行プランを表示して確認することや、動的管理ビューを使用して確認することが可能です。
「sys.dm_db_missing_index_columns」では、インデックスが欠落している列に関する情報を出力します。
構文と引数
構文 sys.dm_db_missing_index_columns (index_handle)
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
index_handle | int | 欠落しているインデックスを識別する整数値 |
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
column_id | int | 列のID |
column_name | sysname | 列の名前 |
column_usage | varchar(20) | クエリでの列の使用方法。次のいずれかになる EQUALITY INEQUALITY INCLUDE |
動作例
実際の実行プランを表示するようにしてクエリを実行したところ、不足しているインデックスの警告が表示されました(図1)。
右クリックして不足しているインデックスの詳細をクリックすると、クエリコストの向上率や、作成すべきインデックスの情報が出力されました(図2)。
「sys.dm_db_missing_index_columns」を実行すると、インデックスが欠落している列に関する情報である、先ほど確認した作成すべきインデックスの類似情報が出力されました。手動であればこの動的管理関数の情報からも不足しているインデックスを作成し、クエリの実行時間を短縮することが可能です(図3)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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