Web3、NFTはどこ? 「ハイプ・サイクル」が示す先進技術の普及予想:3つの重要な技術トレンドがある
Gartnerは「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2022を公開した。そこで示された25の先進テクノロジーは、没入体験の進化と拡大を可能にし、人工知能(AI)の自動化を加速し、技術者による成果の提供を最適化する見込みだ。
Gartnerは2022年8月10日(米国時間)、先進テクノロジーに関する最新のハイプ・サイクル「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2022を公開した。このハイプ・サイクルに含まれる25のテクノロジーは、没入体験の進化と拡大を可能にし、人工知能(AI)の自動化を加速し、技術者による成果の提供を最適化するという。
Gartnerのバイスプレジデントアナリストのメリッサ・デービス氏は、次のように説明している。
「先進テクノロジーは企業に変革の可能性をもたらす。だが、CIO(最高情報責任者)や技術イノベーションリーダーは、リソースの制約が拡大する中で、持続可能性を高めながらデジタル機能を拡張するという課題に直面している。企業は先進テクノロジーを取り巻くノイズを排除し、競争上の差別化と効率化を促進するイノベーションを活用して、変化を加速させる必要がある
Gartnerはさまざまなテクノロジーに関する同社のハイプ・サイクルの中でHype Cycle for Emerging Technologiesがユニークな点として、「毎年2000以上のテクノロジーと応用フレームワークから重要な洞察を抽出し、『押さえておくべき』先進的なテクノロジーとトレンドを簡潔にまとめていること」を挙げている。これらのテクノロジーやトレンドは、今後2〜10年間に高度な競争優位性をもたらす可能性があるとしている。
Gartnerは先進テクノロジートレンドの重要テーマを3つ挙げ、次のように解説している。
没入体験の進化と拡大
デジタル体験の未来は“没入型”にあるという。一連の先進テクノロジーは、人々が持つVR(仮想現実)環境やエコシステム、そして新しいユーザーエンゲージメントを通じて、没入型の体験をサポートする。
これらのテクノロジーによって個人が自身のIDとデータを管理でき、仮想通貨や電子マネーといった「デジタル通貨」と連携した仮想エコシステムを体験できる。これらのテクノロジーは、新しい方法で顧客にリーチし、新たな収益源を創出したり、強化したりする際に役立つ。
Gartnerは没入体験の進化や拡大を実現する注目すべきものとして次のテクノロジーを挙げている。
・メタバース
・非代替性トークン(NFT)
・スーパーアプリとWeb3
・分散型アイデンティティー
・デジタルヒューマン
・顧客のデジタルツイン
・社内人材マーケットプレース
Gartnerによれば、「NFTはブロックチェーン・ベースの代替不可能なデジタル資産であり、デジタル・アートやデジタル・ミュージックのような現実世界の資産の他、住宅や自動車のようなトークン化された物理資産に結び付けられるもの」だ。
GartnerはWeb3の特徴を「ピア・ツー・ピアのインタラクションが、ネットワークを介した新世代の商取引や社会の核となる。それにより、情報や価値の流れを主に管理していた中央集権型プラットフォーム/サーバや、中央集約的な権限は利用されなくなる」とまとめている。
AI自動化の加速
製品やサービス、ソリューションに不可欠なものとして、AIの導入が拡大している。これに伴い、モデルの開発やトレーニング、デプロイの自動化に役立つ「専門的なAIモデル」の作成が加速している。AI開発の自動化は、AI開発における人間の役割を見直すきっかけになる。その結果、予測や意思決定の精度が上がり、AIに期待する成果がより迅速に実現すると、Gartnerはいう。
Gartnerは、AI自動化の加速を支えるものとして次のテクノロジーを挙げている。
・自律システム
・因果関係AI
・基盤モデル
・ジェネレーティブデザインAI
・機械学習コード
技術者による成果提供の最適化
成功するデジタルビジネスは、買うものではなく、構築するものだ。一連の先進テクノロジーが、製品やサービス、ソリューションの構築者コミュニティー(フュージョン・チーム《多分野混成チーム》など)と、これらのコミュニティーが使用するプラットフォームにフォーカスしている。これらのテクノロジーが提供するフィードバックと洞察は、製品やサービス、ソリューションを最適化し、提供スピードを上げ、事業運営の持続可能性を向上させる。
Gartnerは技術者による成果の提供を最適化する重要なものとして、次のテクノロジーを挙げている。
・拡張型FinOps
・クラウドデータエコシステム
・クラウドサステナビリティ
・コンピュテーショナルストレージ
・サイバーセキュリティメッシュアーキテクチャ
・データオブザーバビリティ(データ可観測性)
・動的リスクガバナンス
・業界クラウドプラットフォーム
・ミニマムバイアブルアーキテクチャ
・オブザーバビリティ主導開発
・オープンテレメトリー
・プラットフォームエンジニアリング
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