レプリケートされているトランザクションに関する情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(147)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、レプリケートされているトランザクションに関する情報の出力について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_repl_tranhash」における、レプリケートされているトランザクションに関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。
概要
SQL Serverでは、レプリケーション機能を使用することでデータベースから別のデータベースにデータやデータベースオブジェクトをコピーして配布し、データベースを同期させることが可能です。
「sys.dm_repl_tranhash」では、レプリケートされているトランザクションに関する情報を出力します。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
backets | bigint | ハッシュテーブル内のバケット数 |
hashed_trans | bigint | レプリケートされたトランザクション数 |
completed_trans | bigint | 完了したトランザクション数 |
compensated_trans | bigint | 部分ロールバックを含むトランザクション数 |
first_begin_lsn | nvarchar(64) | バッチの最初の開始ログシーケンス番号 |
last_commit_lsn | nvarchar(64) | バッチの最後のコミットログシーケンス番号 |
動作例
レプリケーションを構築し、データを配布した後に「sys.dm_repl_tranhash」を実行すると、レプリケートされているトランザクションに関する情報が出力されました(図1)。
トランザクションの量が変わることで、「completed_trans」列や「first_begin_lsn」列などの値が変化しました(図2)。
再起動などを実行しなくても、時間が経過すると値が「0」にリセットされてしまうため注意が必要です(図3)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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