サービスメッシュのIstio、CNCFへの移管が承認される:KubeCon NA 2022にはCNCFプロジェクトとして参加へ
Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は2022年9月28日(米国時間)、サービスメッシュのIstioをCNCFに迎え入れる決定を行ったと発表した。Istioはインキュベーションプロジェクトとして参加することになる。
Kubernetesをはじめとするクラウドネイティブ関連のオープンソースソフトウェア(OSS)を管理する団体であるCloud Native Computing Foundation(CNCF)は2022年9月28日(米国時間)、技術監督委員会(Technical Oversight Committee:TOC)がIstioを、CNCFに迎え入れる決定を行ったと発表した。Istioはインキュベーションプロジェクトとして参加することになる。
Istioプロジェクトはこれを受け、商標をGoogleからCNCFへ移管する作業を開始したことを明らかにした。CNCFが2022年10月に開催する「KubeCon+CloudNativeCon North America 2022」の場では、CNCFのプロジェクトとしてあらためてデビューすることになる。
IstioはサービスメッシュのOSSの一つ。サービスメッシュでは、開発言語やランタイムに非依存な形でマイクロサービス間の通信を制御し、可視化できる。これにより、セキュリティの向上や流量制御、スムーズなアプリケーションのアップデートや切り替えなどが行える。
Googleは2017年、IstioをIBM、Lyftなどと共にOSSプロジェクトとして開発を始めたことを明らかにした。他のサービスメッシュ技術が既に存在していたが、Googleが開発を主導しており、社内でも活用しているとされたこともあり、大きな注目を集めた。
CNCFのプロジェクトでないにもかかわらず、CNCFのカンファレンスではIstioをテーマとした複数のセッションが開催され、パネルディスカッションでも盛んに議論された。同じくGoogleが開発を主導したコンテナオーケストレーションのKubernetes、サーバレスのKnativeと組み合わせ、「新たなクラウドスタックだ」と表現する人も出てきた。
だが、Istioが注目され、ユーザーが増えるにつれ、「なぜGoogleはIstioをCNCFのプロジェクトに加える申請をしないのか」という声が高まった。傘下のOSSプロジェクトのガバナンスを確保する役割を果たしているCNCFに移管すれば、このプロジェクトが特定の企業(この場合はGoogle)に左右されないという証となり、競合企業を含めて全てのユーザーが安心して使えるようになるからだ。
紆余曲折の後、GoogleとIstioプロジェクトは2022年4月、CNCFへの寄贈を申請していた。
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