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拡張キー管理プロバイダーに関する情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(161)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、拡張キー管理プロバイダーに関する情報の出力について解説します。

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_cryptographic_provider_properties」における、拡張キー管理プロバイダーに関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。

概要

 SQL Server には、拡張キー管理(EKM)を使用したデータ暗号化機能が用意されています。

 法規制順守の必要性やデータプライバシーに対する関心の高まりを受けて、さまざまなハードウェアベンダーからハードウェアセキュリティモジュール(HSM)製品が提供されています。SQL Serverの拡張キー管理では、EKM/HSMベンダーが作成したEKMモジュールをSQL Serverに登録することによって、EKMモジュールによる高度な暗号化機能やキー管理機能を利用できます。

 「sys.dm_cryptographic_provider_properties」動的管理ビューでは、インスタンスに登録された拡張キー管理プロバイダーに関する情報を出力します。

出力内容

列名 データ型 説明
provider_id int 暗号化サービスプロバイダーの識別番号
guid uniqueidentifier プロバイダーの一意のGUID
provider_version nvarchar(256) 'aa.bb.cccc.dd'形式のプロバイダーのバージョン
sqlcrypt_version nvarchar(256) 'aa.bb.cccc.dd'形式のSQL Server暗号化APIのメジャーバージョン
friendly_name nvarchar(2048) プロバイダーによって指定された名前
authentication_type nvarchar(256) WINDOWS、BASIC、またはその他
symmetric_key_support tinyint 「0」=サポートされていない
「1」=サポートされている
symmetric_key_export tinyint 「0」=サポートされていない
「1」=サポートされている
symmetric_key_import tinyint 「0」=サポートされていない
「1」=サポートされている
symmetric_key_persistance tinyint 「0」=サポートされていない
「1」=サポートされている
asymmetric_key_support tinyint 「0」=サポートされていない
「1」=サポートされている
asymmetric_key_export tinyint 「0」=サポートされていない
「1」=サポートされている
symmetric_key_import tinyint 「0」=サポートされていない
「1」=サポートされている
symmetric_key_persistance tinyint 「0」=サポートされていない
「1」=サポートされている

動作例

 下記のマイクロソフト社公開情報を参考に、「SQL Serverコネクタfor Azure Key Vault」をEKMプロバイダーとして使用して動作確認を行いました。

 リンク先を参考に、Azureでアプリ登録やKey Vaultの構成を行った後、SQL Serverコネクタのインストールを行い、インスタンスでEKMプロバイダーを有効化しました(図1、図2)。

図1
図1 インスタンスでEKMプロバイダーを有効化したところ
図2
図2 Azure Key VaultのEKMモジュールをプロバイダーとして登録したところ

 プロバイダーの登録が完了したら「sys.cryptographic_providers」システムビューを出力して、登録した拡張キー管理プロバイダーのプロバイダーIDを確認します。「sys.dm_cryptographic_provider_properties」動的管理ビューにはプロバイダー名が出力されないため、「sys.cryptographic_providers」システムビューも併せて確認する必要があります(図3)。

図3
図3 「sys.cryptographic_providers」システムビューによりプロバイダーIDを確認したところ

 プロバイダーIDを確認したら、「sys.dm_cryptographic_provider_properties」動的管理ビューを出力します(図4)。

図4
図4 「sys.dm_cryptographic_provider_properties」動的管理ビューを出力したところ

 出力内容から「SQL Serverコネクタfor Azure Key Vault」EKMモジュールが対称キーと非対称キーをサポートしていることや、キーのインポート、エクスポートをサポートしていないことなどを確認できました。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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