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2022年のコンピュートおよびストレージハードウェア支出は2桁増、2023年は減速の見通し2023年は「市場がマクロ経済の大きな逆風と需要鈍化に直面」

IDCは、2022年第4四半期と通年の世界コンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出を購入用途別、購入者別、地域別に分類した結果を発表した。クラウド用、非クラウド用とも堅調に伸びてきたが、2023年は減速する見通しだ。

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 調査会社のIDCは2023年3月31日(米国時間)、2022年第4四半期と通年の世界コンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出を購入用途別、購入者別、地域別に分類した結果を発表した。

 購入用途については、「クラウド用」と「非クラウド用」に分類し、クラウド用はさらに「共有クラウド」用と「専用クラウド」用に分類している。

 「共有クラウド」は、パブリッククラウドサービス(企業のデータセンターに展開されたITインフラの拡張や置き換えのために設計されたさまざまなサービスを含む)や、各種デジタルサービス(メディア/コンテンツ配信、共有、検索、ソーシャルメディア、電子商取引など)に使われるクラウドを指す。相互に無関係な企業や消費者の間で共有される。

 「専用クラウド」は、1つの企業または企業グループ内で共有される。クラウドサービスプロバイダーの施設に展開される場合と、顧客の施設に展開される場合がある。

世界のクラウドインフラ支出

 2022年第4四半期のクラウド用コンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出(以下、クラウドインフラ支出)は、前年同期比16.3%増の241億ドルとなり、非クラウド用コンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出(以下、非クラウドインフラ支出)を引き続き上回った。ただし、非クラウドインフラ支出も9.4%増と堅調に伸び、187億ドルとなった。

 2022年通年では、クラウドインフラ支出は前年比19.4%増の877億ドル、非クラウドインフラ支出は13.6%増の667億ドルだった。クラウドインフラ市場は、旺盛な需要、大量の受注残、価格上昇、インフラサプライチェーンの改善から引き続恩恵を受けている。

 クラウドインフラ支出のうち、共有クラウド用コンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出(以下、共有クラウドインフラ支出)は、2022年第4四半期は前年同期比18.5%増の168億ドル、通年では前年比20.1%増の615億ドルとなった。IDCは、共有クラウドインフラへの強い需要が継続すると予測しており、2023年には、共有クラウドインフラ支出が非クラウドインフラ支出を上回る見通しだ。

 専用クラウド用コンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出(以下、専用クラウドインフラ支出)は、2022年第4四半期は前年同期比11.5%増の72億ドル、通年では前年比18.0%増の262億ドル。これらのうち、顧客施設への展開用の割合は、2022年第4四半期が45.5%、通年が45.2%だった。

2023年のクラウドインフラ支出額予測

 IDCは、2023年のクラウドインフラ支出が前年比6.9%増の937億ドルになると予測している。2022年の19.4%増から大きく減速することになる。非クラウドインフラ支出については、10.3%減の598億ドルに落ち込むと予測している。クラウドインフラ支出のうち、共有クラウドインフラ支出は7.5%増の661億ドル、専用クラウドインフラ支出は5.4%増の276億ドルとなる見通しだ。

 この控えめな成長予測は、「市場がマクロ経済の大きな逆風と需要の鈍化に直面する」という見通しを反映している。そうした中で、クラウドインフラ支出は、モダナイゼーションの推進、OPEX(Operation Expense:運用コスト)の重視、デジタルコンシューマーサービス需要の継続的な増加を背景に、プラス成長を維持するものの、企業顧客が投資抑制に動くことで、非クラウドインフラ支出は減少すると予測されている。

 一方、IDCは、コンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出を、「サービスプロバイダー」と「非サービスプロバイダー」という購入者別にも分類、報告している。

世界のコンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出

 サービスプロバイダーのコンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出は、2022年第4四半期には241億ドルとなり、前年同期比で16.0%増えた。コンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出全体に占める割合は56.3%に達した。サービスプロバイダーには、クラウドサービスプロバイダー、デジタルサービスプロバイダー、通信サービスプロバイダー、マネージドサービスプロバイダーが含まれる。

 2022年第4四半期の非サービスプロバイダー(企業、政府機関など)のコンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出は、前年同期比9.7%増にとどまった。

 2022年通年では、サービスプロバイダーの支出は前年比18.0%増の879億ドルとなり、コンピュートおよびストレージ支出全体の56.9%を占めた。非サービスプロバイダーの支出は15.4%増の664億ドルだった。

 IDCは、2023年には、サービスプロバイダーの支出が923億ドルに達し、前年比で5.1%増えると予測している。

地域別クラウドインフラ支出

 地域別では、2022年第4四半期のクラウドインフラ支出は、ロシア・ウクライナ戦争の影響を受けた中東欧(CEE)を除く全ての地域で、前年同期比で増加した。CEEの支出は54.0%減。中南米は38.6%増、中東・アフリカ(MEA)は38.0%増、西欧は25.5%、米国は21.8%増となった。他の地域の伸び率は、1桁台から10%台だった。

 2022年通年では、CEEが前年比39.7%減で、MEAが41.0%増と最も成長した。他の地域は全て10〜30%台の増加となった。

 2023年については、CEEとMEAを除く全ての地域でクラウドインフラ支出が増加し、中国(PRC)は19.8%増になると予測されている。他の地域、具体的にはアジア/太平洋地域(日本、中国を除く)、カナダ、日本、中南米、米国、西欧の支出は、0〜10%増となる見通しだ。

クラウドインフラ支出の中長期予測

 IDCは長期的には、クラウドインフラ支出が2022〜2027年に10.5%の年平均成長率(CAGR)で増加し、2027年には1443億ドルとなり、コンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出全体の67.6%を占めると予測している。

 このうち共有クラウドインフラ支出は、2022〜2027年に11.0%のCAGRで増え、2027年には1,035億ドルに達し、クラウドインフラ支出の71.7%を占める見通しだ。専用クラウドインフラ支出は9.3%のCAGRで増え、2027年には407億ドルになると予測されている。

 IDCは非クラウドインフラ支出については、0.7%のCAGRで増加し、2027年には690億ドルに達すると予測している。

 サービスプロバイダーのコンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出は、CAGRが10.0%となり、2027年には1413億ドルに達すると予測されている。


2022〜2027年のコンピュートおよびストレージインフラハードウェア支出(非クラウド用、共有クラウド用、専用クラウド用)(提供:IDC)

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