オンプレミスは2026年までに「Newオンプレミス」に変わる ガートナーが提言:オンプレミスは滅びぬ、何度でもよみがえるさ
ガートナージャパンは、オンプレミスに関する展望を発表した。同社によると「オンプレミスかクラウドか」ではなく「従来型か最新型か」の議論が重要になってきているという。
ガートナージャパンは2023年3月16日、オンプレミスに関する展望を発表した。
「オンプレミスかクラウドか」ではなく「OldかNewか」
ハイパースケーラーがオンプレミスサービスを展開し始めるなど、オンプレミスの価値が見直されている。ガートナージャパンによると、ハイパースケーラーと従来のオンプレミスベンダーとの競合が再燃しつつあるという。こうした変化に伴い、「従来型(Old)のオンプレミス技術は衰退し、クラウドネイティブの要素を取り入れた最新型(New)のオンプレミス技術へと変革が進む」とガートナージャパンは予測している。
「2026年までに、オンプレミスベンダーの技術の90%はNewオンプレミスに切り替わるだろう。すでに時代は、オンプレミスかクラウドかを問う時代ではなくなっている。今後は『Oldオンプレミス+Oldクラウド』か『Newオンプレミス+Newクラウド』か、の議論が重要になるだろう」(ガートナージャパン)
メインフレーム利用企業に求められる「存続させるかどうか」の判断
こうしたオンプレミスに関する変化の影響を特に受けると考えられるのはメインフレームを利用する企業だ。ガートナージャパンによると、富士通をはじめ、メインフレームからの撤退を考えるベンダーが増えており、メインフレーム利用企業は何らかのマイグレーション計画を立案せざるを得ない状況にあるという。
だが、想定以上に高い見積金額を提示され、困惑する企業も多い。同社は「2026年までにメインフレーム利用企業の6割がメインフレームのマイグレーションを見送る(諦める)」と見込んでいる。
ガートナージャパンの亦賀忠明氏(ディスティングイッシュトバイスプレジデント アナリスト)は、「何の対策も講じていない企業は、将来サポート切れのメインフレームを使い続ける必要があることと、業務システムを理解できる人材がいなくなる状況に陥る恐れがあることを認識しなければならない。また、ベンダーの撤退に伴い緊急避難的にマイグレーションする場合であっても、小手先の改善に膨大な費用をかけないように注意が必要だ」と指摘する。
ガートナージャパンの青山浩子氏(シニアプリンシパルアナリスト)は、「オンプレミスの新しい技術や手法は破壊的だ。ユーザー企業はハードウェアの単純更改といった『容器』交換のやり方から、オンプレミスの新陳代謝を図るためのやり方へと自らの意思で変えていく必要がある。『これまで通り』で踏襲してきた運用の在り方やスキル、チーム編成と役割も未来に向けて見直す必要に迫られている」と述べている。
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