2023年の世界IT支出は3.25兆ドル クラウド関連は堅調、非クラウドは低調:前年比4.4%増も、IDCが5カ月連続で予測を引き下げ
IDCは、世界IT支出に関する月次予測を更新し、2023年の世界IT支出が前年比4.4%増の3.25兆ドルになるとの見通しを明らかにした。
調査会社のIDCは2023年4月5日(米国時間)、世界IT支出に関する月次予測を更新し、2023年の世界IT支出が前年比4.4%増の3.25兆ドルになるとの見通しを明らかにした。前月予測の4.5%増と比べて0.1ポイント減であり、2023年の世界IT支出予測の引き下げは5カ月連続で、2022年10月に予測していた6.0%増との差が広がってきた。
IDCのデータ&アナリティクスリサーチグループのバイスプレジデントを務めるスティーブン・ミントン氏は、次のように説明している。「2022年第4四半期以降、IT支出の一部の分野で緩やかな減速の明確かつ測定可能な兆候が見られる。IT支出は、過去の景気低迷期や、他の種類のビジネス支出に比べて、依然として回復力があるが、金利上昇が設備投資に影響を与えている」
IDCは2023年3月の予測でPC支出予測を下方修正したが、今回の予測はサーバ、ウェアラブルデバイス、周辺機器といったハードウェアカテゴリーの予測も下方修正した。ただし、企業によるオンプレミスインフラ投資に関する予測は下方修正したものの、クラウドプロバイダーやサービスプロバイダーのハードウェア導入は全体的に回復力を保っている。
サービスプロバイダーの支出は、2022年の高水準からは鈍化している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)後の成長減速を受けて、業界が調整局面に入っているからだ。だが、クラウドプロバイダーやハイパースケールプロバイダーが計画している投資は、2023年3月からほぼ維持されている。インフレ圧力はあるものの、クラウドサービスへの旺盛な需要が引き続き成長を支えているためだ。その一方で、非クラウド支出は減少する見通しだ。
「景気やインフレの最も大きな影響は消費者市場に集中しており、消費者のIT支出は2023年に、2%減少すると予測されている。2年連続で消費者のIT支出が減少することになる。2021年の支出が18%伸びたのとは様変わりだ。これに対し、クラウドやデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する企業の需要は、経済的な逆風にもかかわらず、依然として堅調だ」(ミントン氏)
IDCは今回、初めてチャネル別の予測も明らかにした。2023年の直接的なIT支出は6.4%増える見通しだが、チャネルプロバイダー経由の間接的な支出は、2.5%増にとどまる見通しだ。信用引き締めにより、中小企業や消費者のIT投資資金の調達力が低下するためだ。
「オンプレミスインフラやPCが大きな収入源であるリセラーは、2023年に厳しい市場環境に直面する。一方、クラウドインフラ、ソフトウェア、サービスは、1年前よりも成長が鈍化するが、IT支出全体に占める割合は引き続き大きくなり、業界が享受している一般的な回復力を補強している」(ミントン氏)
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