Oracleの高性能JDKディストリビューション、「Oracle GraalVM」が無料で利用可能に:全ての機能を開発、本番環境利用できる
Oracleは、新しい「Oracle GraalVM」ディストリビューションを新しい「GraalVM Free Terms and Conditions」(GFTC)ライセンスで公開した。
Oracleは2023年6月13日(米国時間)、新しい「Oracle GraalVM」ディストリビューションを新しい「GraalVM Free Terms and Conditions」(GFTC)ライセンスで公開したと発表した。JDK(Java Development Kit) 17とJDK 20に対応しており、全ての機能を開発および本番環境で無料で利用できる。
GraalVMは、Javaや他のJVM(Java仮想マシン)言語で
書かれたアプリケーションの実行を高速化する高性能JDKディストリビューションだ。以下の特徴を持つ。
- 最適化GraalVM実行時(JIT)コンパイラを用いて、Javaアプリケーションのパフォーマンスを向上させる
- ネイティブイメージユーティリティーにより、Javaバイトコードを事前に(AOT)コンパイルし、ネイティブ実行ファイルを生成することもできる。これらの実行ファイルはほぼ瞬時に起動し、メモリリソースの消費が少ない
- Truffle言語実装フレームワークがGraalVMコンパイラと連動し、JavaScript、Ruby、Pythonなどサポートされている言語を、JVMで優れたパフォーマンスで実行する
GraalVMは、Oracle GraalVMと「GraalVM Community Edition」という両ディストリビューションで提供されている。Oracle GraalVMは「Oracle JDK」に基づいており、GraalVM Community Editionは「OpenJDK」に基づいている。また、GraalVM Community Editionは、クラスパス例外付きのGNU General Public License(GPL)v2.0で提供されている。
Oracle GraalVMの機能強化点
Oracle GraalVMの今回のリリースでは主に、ネイティブイメージユーティリティーの以下のような機能が強化された。
- プロファイルガイド付き最適化:実行時にアプリケーションのプロファイリング情報を収集し、ネイティブイメージユーティリティーで生成されるネイティブ実行ファイルのパフォーマンスを最適化する
- ピーク性能を高めるコンパイラ最適化
- 大きなヒープと最小限の休止時間でアプリケーションを実行するためのガベージファーストガベージコレクタ(G1 GC)
- オブジェクトヘッダとポインタの圧縮によるメモリフットプリントの削減
- 機械学習によるプロファイリング情報の自動推論
- SBOM(Software Bill of Materials:ソフトウェア部品表)のサポートによるセキュリティ機能の追加
Oracleは、Oracle GraalVMとGraalVM Community Editionのネイティブイメージユーティリティーをそれぞれ使ってサンプルアプリケーションをコンパイルし、両者のパフォーマンスやリソース消費、効率性を比較した結果を報告した。
それによると、Oracle GraalVMのネイティブイメージユーティリティーで生成したアプリケーションは、GraalVM Community Editionの同ユーティリティーで生成したアプリケーションと比べて、以下の通りだった。
- 起動が高速
- メモリ使用量が少ない
- ピークスループットが高い
- 1秒間に1GBのメモリで処理できるリクエストが多い
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