帰省したら、母のLINEがしっちゃかめっちゃかだった話:高齢家族のITサポートに追われる
コロナ禍も多少落ち着いた2023年の夏は、帰省した人も多かったのではないでしょうか。帰省のたびに直面するのは、高齢家族のITサポートです。この夏は、母の“しっちゃかめっちゃか”なLINEの整理に追われました……。
コロナ禍も多少落ち着いた2023年の夏は、帰省した人も多かったのではないでしょうか。筆者もようやく、じっくりと帰省できました。
読者のみなさんも同じかと思うのですが、帰省のたびに直面するのは、高齢家族のITサポートです。この夏は、母の“しっちゃかめっちゃか”なLINEの整理に追われました。
鳴り止まない通知音
母はスマートフォンの通知音をオンにしているのですが、なぜかやたらと通知音が鳴ります。1日に何度も何度も鳴るので、いったい何だろうと尋ねると、LINEの通知だといいます。
友人や親族などの個人のLINEなら通知があってもいいのですが、近所のドラッグストアなどの企業アカウントや、小学校の同窓会などのグループLINEの通知も全て受け取っていたので、一日中鳴りっぱなしなのです。肝心の友人からのLINEに気付かずスルーしてしまうこともあり、母自身も困っていました。
読者のみなさんを含むリテラシーが高い人なら「LINEの通知を切る」という作業は簡単で当たり前でしょう。でも、高齢者にとっては意外と難しい。私の母も、その方法を知りませんでした。
スマートフォンを苦手に感じる人はそもそも、LINEのインストールや設定も家族にまるまるやってもらっているケースが多く、メッセージのやりとりや音声通話以外の操作方法が分からなかったり、そもそも設定があることすら知らなかったりします。
LINEはデフォルトの設定では、全てのメッセージ通知がオンになるため、筆者の母のように、店舗などに言われるがままに公式アカウントを連携させ、通知の海に溺れる高齢者が続出している……と思います。
LINEだけでなく、店舗ごとのポイントカードアプリなど、販促アプリの通知も全てオンになっていることに気付き、母に確認の上、LINEの店舗アカウントやグループチャット、さらには販促アプリの通知まで全てOFFにしました。
母のスマホにようやく“平穏”が訪れました。
高齢者の利用率、LINEがメールを上回った、けど
シニアのSNS利用状況を調べたNTTドコモの調査によると、LINEがメールを初めて上回ったそうです(調査結果)。
私の母や高齢の親戚は、「LINEはメールより難しい」と言いますし、好んで使っているわけではなさそうですが、下の世代がメールを使わなくなってきていることもあり、LINEを使わざるを得ない実態があるでしょう。
送受信以外の機能がほとんどなかったメールと違い、LINEは極めて多機能で、ややこしいサービスです。加えて、メールとはビジネス設計がそもそも異なります。
携帯電話にも迷惑メールは届きます。ただ、キャリア各社が連携し対策しており、登録していない相手からのメールを受け取らないといったこともできます。携帯キャリアは通信料金が主な収益源であり、メールに直接課金するといったビジネスではないため、迷惑メールの規制にも積極的でいられるのかもしれません。
LINEは事情が異なります。原則、無料で利用できるアプリなので、サービスそのもので収益を得る必要があります。企業向けの公式アカウントのメッセージ送信にも課金しており、企業からの通知を「オフにさせない」ことが収益につながります。ユーザーの使い勝手とSaaSとしてのビジネスがトレードオフになってしまっているとも言えるでしょう。
全世代が平均的に利用しているメッセージ手段がLINE以外にない以上、好む、好まざるLINEを使わざるを得ません。LINEは高齢者などリテラシーが低い人向けに、もう少しシンプルで、余計な通知が来ない使い勝手を探求してほしいのですが……。
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