AWS、「Amazon Bedrock」でRAGワークフロー構築を支援する「データオートメーション機能」を提供開始:どう役立つのか
Amazon Web Servicesは、「Amazon Bedrock」の「Data Automation」機能の一般提供を開始した。
Amazon Web Services(AWS)は2025年3月3日(米国時間)、「Amazon Bedrock」の「Data Automation」(データオートメーション)機能(BDA)の一般提供を開始した。
Amazon Bedrockは、AI21 Labs、Anthropic、Cohere、Luma、Meta、Mistral AI、Stability AIなど、AI(人工知能)企業の高性能な基盤モデルを単一のAPIで提供するフルマネージドサービス。セキュリティ、プライバシー、責任あるAIを備えた生成AIアプリケーションの構築に必要な幅広い機能を提供する。
データオートメーション機能とは? どう役立つのか
BDAは、スタンドアロン機能として、またはAmazon Bedrockの「ナレッジベース」のRAG(検索拡張生成)ワークフローのパーサとして使用できる。Amazon Bedrockのナレッジベースは、企業のデータソースからデータを取得し、プロンプトを拡張、強化するRAGワークフロー全体の実装に役立つ、セッションコンテキスト管理とソースの帰属が組み込まれたフルマネージド機能だ。
開発者はBDAにより、ドキュメント、画像、音声、動画などの非構造化マルチモーダルコンテンツからの有用なインサイトの生成を自動化し、生成AIアプリケーション構築に利用できる。「開発者は開発時間と労力を削減でき、インテリジェントなドキュメント処理、メディア分析、その他のマルチモーダルデータ中心の自動化ソリューションをより簡単に構築できる」と、AWSは述べている。
AWSが提供する生成AIアシスタント「Amazon Q Business」は現在、BDAを使用してマルチモーダルアセットを処理し、インサイトを提供している。
AWSはBDAの一般提供開始に当たって、さまざまな種類のドキュメントの解析精度を高め、動画のシーンレベルと全体の要約精度を強化したという。画像や動画内の3万5000以上の企業ロゴの検出に対応した他、AWSのクロスリージョン推論のサポートを追加した。クロスリージョン推論は、異なるリージョン間でのルーティングを最適化することで、スループットを最大化することを目的としている。
さらにBDAでは、セキュリティ、ガバナンス、管理機能も多数追加された。その中には以下が含まれる。
- 暗号化のための「AWS Key Management Service」(AWS KMS)でのカスタマーマスターキー(CMK)のサポート
- インターネット経由ではなく、仮想プライベートクラウド(VPC)内でBDA APIに直接接続するための「AWS PrivateLink」
- BDAリソースおよびジョブのタグ付けによるコストの追跡と、「AWS Identity and Access Management」(IAM)でのタグベースのアクセスポリシーの適用
Amazon BedrockのBDAは、米国西部(オレゴン)リージョンと米国東部(バージニア北部)リージョンで利用できる。
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