「生成AIの活用が進めばITインフラの複雑化、分散化が進むだろう」 IDC Japan:「デジタルビジネスに直結するビジネス成果」も期待
IDC Japanは、国内ITインフラ支出動向調査の分析結果を発表した。同社は「ITインフラ投資に期待するビジネス成果はコスト削減や事業拡大に加え、顧客満足度の向上やイノベーションの加速といったデジタルビジネスに直結する項目が重視されていることが分かった」としている。
IDC Japanは2023年10月16日、国内ITインフラ支出動向調査の分析結果を発表した。これは、国内企業でITインフラ導入の意思決定やITインフラ導入のプロセスに関与している人を対象に実施した調査の結果をまとめたもの。それによるとITインフラ投資に期待するビジネス成果は、「コストの削減」が最も多く、44.4%(複数回答、以下同)だった。
生成AIを活用するとITインフラはどう変わる?
IDC Japanは「デジタルビジネスの成熟度が高い回答者は、ITインフラ投資の優先度が高く、ITインフラのレジリエンシー(変化への対応能力)も備えている」と分析している。ITインフラ投資で何を重視するかを聞いたところ、「ITインフラのセキュリティや俊敏性の向上」「運用管理の自律化」「データ分析基盤(に対する投資)」などが挙がった。
近年、オンプレミスのハードウェアを「as a Service」で利用できるサービスが登場しているが、この“ハードウェアのas a Serviceモデル”を利用する企業に、採用理由を聞くと「使用量に応じた支払いで済む」「過大な初期投資を回避できる」「利用とコストの対応関係が明確化する」などが挙がった。IDC Japanは「ITコストの最適化に加え、ITインフラコストの説明責任やコスト負担部門の明確化もas a Serviceモデルの利用理由になっている」と分析している。
生成AIの活用によって起こるITインフラの変化については、「サイバーセキュリティ脅威への対応」「オンプレミスへのワークロードの再配置」「ITインフラの複雑性の増大」「パブリッククラウドへの移行の加速」が上位に挙がった。
IDC Japanの宝出幸久氏(Infrastructure & Devices リサーチマネージャー)は、「生成AIの活用が進めば、ITインフラがさらに複雑化し、分散化が加速する。ITインフラ投資では、データ活用によるイノベーションの実現と、ITインフラの信頼性の向上を両立するとともに、デジタルビジネスを実現するための共通基盤を構築することが重要になる」と述べている。
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