日本企業のDX取り組み状況は今どのくらい? ガートナーが2023年5月時点の調査結果を発表:「開発を社外リソースに頼らざるを得ない企業も多い」
ガートナージャパンは、国内企業のDXの取り組みに関する調査結果を発表した。それによるとDXの取り組みにおいて、IT部門が主導する分野と非IT部門が主導する分野が分かれていることが分かった。
ガートナージャパンは2023年10月26日、国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みに関する調査結果を発表した。それによると、DXに取り組んでいる企業の割合が最も高い分野は「既存ビジネスのコスト削減やオペレーションの効率化」(79.3%)だった。
ビジネスモデルの変革に関わる部分は事業部門が主導
DXを主導する組織については、「データやITインフラなどの基盤の整備」「既存ビジネスのコスト削減やオペレーションの効率化」など、5つの項目でIT部門が主導している割合が高かった。それに対して「新規事業などの新しい価値提案の創出」「新しい顧客ターゲットやチャネルの拡大」「新しい収益流(収益を得る仕組み)の確立」の3つの項目については、事業部門などの既存の非IT部門が主導している割合が高かった。
ガートナージャパンはこの結果について次のように分析している。
「IT部門が主導する分野が多かったのは、既存、新規ビジネスに関連するデータやITインフラなどの基盤を整備する必要性が増しているためだろう。また、非IT部門が主導している割合が高い分野は、今後のビジネスモデルの変革に主眼が置かれた取り組みであり、事業部門が主導することは自然な流れだ」
DXの取り組みにおける内製/外製化については、社外のリソースを活用している企業が依然として多いことが分かった。DXに関連するシステム開発について「システムの企画」「設計、開発、実装」「実装後のシステムの運用、管理、保守」の3つの工程に分け、それぞれ社内のリソースでどのくらい対応できているか聞いたところ、各工程において「大部分を社内のリソースで対応できている」という企業の割合は20〜30%程度だった。一方、「社外のリソースを活用している」という企業の割合は、各工程で60%を超えていた。
ガートナージャパンの中尾晃政氏(シニア プリンシパル アナリスト)は、「デジタルの取り組みでは、新しい技術スキルを保有する人材が社内では不足しており、社外リソースに頼らざるを得ない現状が見える。社外リソースの活用については、社内のIT部門の立ち位置、必要なIT人材の不足状況など、企業の状況によって左右される。今後は、より内製に振れる分野とそうでない分野が明確に分かれてくるだろう」と述べている。
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