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生成AIの導入前にCIOとCTOは何を考慮すべき? IBMが解説重要なのは熱意ある人材の有無?

IBMは生成AIの導入についてCIOとCTOが何をすべきかについて同社ブログで解説した。

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 IBMは2023年10月25日(米国時間)、生成AIの導入についてCIO(最高情報責任者)とCTO(最高技術責任者)が何をすべきかについて同社ブログで解説した。

 同社が実施した調査「IBM Institute for Business Value」では、CEOの64%が、生成AIを使用する前にアプリを近代化する必要があると答えているという。一方で、同社は「生成AIにはコードリバースエンジニアリング、コード生成、コード変換、モダナイゼーションワークフローの定義、その他の自動化プロセスを通じて、アプリケーションのモダナイゼーションプロセスを変革する力がある」と述べている。

ハイブリッドクラウドの導入状況

 ハイブリッドクラウドを使いこなしている組織は、組織全体で生成AIを導入するのに有利な立場にあるという。ハイブリッドクラウドによって、強力なオープンソースの大規模言語モデル(LLM)を活用し、パブリックデータとコンピューティングリソースを使用して独自のモデルをトレーニングし、モデルを非公開で安全に微調整できるからだ。

 「ハイブリッドクラウド上の生成AIは、顧客や従業員のエクスペリエンス、HR、カスタマーサービス機能に大きな価値をもたらすだけでなく、真に継続的な近代化を可能にする可能性がある」(IBM)

財務的影響の検討

 IBMは、CTO/CIOは、モダナイゼーションによる組織全体の財務的影響を見積もる必要があると主張している。加えて、人材育成を優先することで専門知識のギャップに対処し、モダナイゼーションを単なる運用上のテクノロジーではなく、戦略的で将来を見据えたビジネス投資として考える必要があると述べている。

 「生成AIがモダナイゼーションにもたらすビジネス価値を理解し、何に投資すべきかを判断することも必要だ」(IBM)

ユースケースの優先順位付け

 IT運用における生成AIのユースケースには、サービスレベル目標を順守するためのシステムの自動トリアージ、クエリやチケットの管理、連絡、支援、解決、イベントや異常の検出・管理などがある。IBMは、生成AIを適用できるワークフローとして、以下の4つを挙げている。

  • モダナイゼーションワークフローの定義を支援
  • コードリバースエンジニアリング
  • コード生成
  • コード変換

 CTO/CIOは、生成AIをこれらの機能に使用することで利益を得られるか検討する必要がある。

基盤モデルの評価

 適切な基盤モデルを前もって選択することで、より正確で効率的な結果が企業にもたらされる。トランスフォーマーのアーキテクチャは、サイズが大きい方が有利だ。そのため、生成AIでは、より広範なアプリケーションのために、より大きな基盤モデルを構築する競争が行われている。

 一方でIBMは、あるタスクのために微調整された小さなモデルのほうが、微調整されていない大きなモデルよりも優れていることが多いことを理由に「数十億パラメータを持つ重いモデルが企業にとって常に最良の選択肢とは限らない」と述べている。

ROIフレームワークの作成

 生成AIでは、ROIの計算方法は成熟しておらず標準化もされていない。エンタープライズアプリケーションの場合、ファインチューニング、プロンプトエンジニアリング、計算負荷の高いワークロードの実行には多額の投資が必要だ。

 IBMはモデルを選択する際に考慮すべき重要な要因を4つ挙げている。これらはドメイン、業界、ユースケースによって異なるという。

  • 価格設定またはライセンス
  • 開発工数
  • 企業データのセキュリティ
  • IPとセキュリティリスク

 これらの他に、データの可用性とガバナンスの要素も、ROIを評価する際に考慮すべき事項だと指摘している。

サステナビリティ目標の検討

 サステナビリティにコミットし効果的な取り組みを行う企業は、株主利益率、収益成長率、収益性を向上させ、事業価値を高められるだろう。しかし、AIモデルのトレーニングやチューニング、実行は、莫大(ばくだい)なカーボンフットプリントにつながる可能性がある。

人的資源の開発

 IBMによると、生成AIの効果的な導入は、熟練した熱意のある人材にかかっているという。

 「従って、人事部門が組織戦略の司令塔となるべきである。人事担当者自身を再教育することから始め、次に生成AIの導入状況や、フィードバックが提供されている場所を伝えるための管理イニシアチブを開発する必要があるだろう」(IBM)

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