「Kubernetesコスト最適化」はできている? 4000のKubernetesクラスタを分析 CAST AI:「Kubernetes Cost Benchmark Report」を発表
CAST AIは、4000のKubernetesクラスタを分析した「Kubernetes Cost Benchmark Report」を発表した。50以上のCPUを割り当てているKubernetesクラスタにおいて、企業が実際に利用しているのは割り当てられたCPUの平均で13%、メモリでは20%のみだった。
CAST AIは2024年2月28日(米国時間)、Kubernetes環境のコスト最適化動向を調査した「Kubernetes Cost Benchmark Report」を発表した。同調査は、2023年1月1日〜12月31日にかけて、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud上で実行されていた4000のKuberentesクラスタ分析に基づくものだ。50未満のCPUを割り当てているKubernetesクラスタは分析対象から除外しているという。
Kubernetesクラスタで過剰支出、その原因とは
調査結果によると、50以上のCPUを割り当てているKubernetesクラスタにおいて、企業が実際に利用しているのは割り当てられたCPUの平均で13%、メモリでは20%のみだった。
CAST AIの共同創設者兼最高製品責任者であるローラン・ギル氏は「本調査は、Kubernetes上でアプリケーションを実行する企業がまだコスト最適化の初期段階にあり、クラウドネイティブインフラストラクチャを手作業で管理する複雑さに直面していることを示すものだ。より多くの企業がKubernetesを採用するにつれて、問題は悪化する」と述べている。
他の主要な調査結果は次の通り。
- 1000以上のCPUを割り当てている大規模なKubernetesクラスタでは、プロビジョニングされたCPUの平均で17%のみを使用していた
- AWSとAzureで構築されているKubernetesクラスタのCPU使用率は11%だった。メモリ使用率はGoogle Cloudで18%、AWSで20%、Azureで22%だった
- 米国東部および米国西部リージョンで最も人気のあるインスタンスのスポットインスタンス価格は、2022年から2023年にかけて23%上昇していた
CAST AIはこれらの分析結果を踏まえ、Kubernetesクラスタにおける過剰支出の原因を次のようにまとめている。
- 過剰プロビジョニング:アプリケーションやシステムが実際に必要とするよりも、多くのコンピューティングリソースを割り当てている
- リソースの余剰確保:Kubernetesクラスタで必要とするCPUを余分に設定している
- スポットインスタンスの使用率が低い:「スポットインスタンスは低価格だが、不安定」という認識から、消極的になっている
- 「Google Kubernetes Engine」における「カスタムインスタンスサイズ」の利用率が低い:CPUとメモリのリソース割り当てを選択することは難しく、自動化されていない限り、リソース配分は困難
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