「急激な円安で心の休まらない日々」――NewsPicksのSREが明かす、AWSコスト20%削減術:最も効果の高かった施策とは
2022年10月8日、AWSユーザーグループ「JAWS-UG」が主催する勉強会「JAWS DAYS 2022」がオンラインと全国各地のリアル会場で開催された。本稿では、ニューズピックス SREチームの安藤裕紀氏による講演内容を要約してお伝えする。
円安による26%ものコスト増。SREチームにのしかかるコスト最適化の重圧
ニューズピックスが提供するソーシャル経済メディアの「NewsPicks」は、経済ニュースを中心に、記事に対して専門家や読者のコメントを添え、理解を深められるアプリやWebサイトを提供している。安藤氏は、同サービスのSRE(Site Reliability Engineering)チームでプレイングマネージャーを務め、JAWS-UGのSRE支部の運営にも携わっている。
2013年9月にサービスを開始したNewsPicksは、2022年7月時点で登録ユーザー718万人、プレミアム会員19.3万人と順調に成長してきた。プラットフォームのインフラにはAmazon Web Services(AWS)を使用している。
安藤氏が所属するSREチームは「誰もが安全かつ高速に開発できるインフラを提供することで、ニューズピックスの企業価値を継続的に向上する」というミッションのもと活動している。安藤氏は、活動の軸には「ユーザー体験を守る」「開発者体験を高める」「レガシーを捨てる」「セキュリティ、コスト適正化する」の4つがあるとし、中でもコストの適正化を中心に講演した。
AWSは米ドルベースでの料金設定となっており、2022年に生じた急激な円安でコスト管理に大きな影響を受けることになる。安藤氏は「急激な円安を受け、コスト削減や最適化を求められるSREチームの心は休まらない日々です」と打ち明けた。
2022年1月ごろは1ドル115円、4月には125円、7月には135円、10月には145円を超えてきた。1月と比較すると26%増加したことになる。仮に1月のAWS利用料金が1億円で、10月が全く同じ使用量だった場合、料金は1億2600万円に膨れ上がることとなる。
利益率15%のビジネスをしている場合、2600万円の利益を得るには追加で1億7333万円の売り上げを加算する必要がある(※安藤氏による試算。金額はニューズピックスの実際の支出、収益とは関係ない)。コスト最適化を担うSREチームには、経営陣からの期待が高まる状況だ。
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