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VMwareからの移行需要を機にNutanixが仕掛ける攻勢の中身外部ストレージへの対応も

Nutanixは、単に受動的にVMwareからの移行需要に対応しているだけではない。では、何に取り組んでいるのか。ニュータニックス・ジャパンの説明から、具体的なトピックをまとめてみた。

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 VMwareからの移行需要への対応に追われるNutanix。インフラ、AI(人工知能)、コンテナの3分野でVMware(Broadcom)とのせめぎ合いが続く。本記事では、2024年10月10日にニュータニックス・ジャパンが実施した説明会から、機能やサービスなど具体的なトピックに絞って同社の動きをまとめる。

VMwareからの移行には多角的に対応

 NutanixはVMwareからの移行について、多角的に取り組んでいる。その過程で、「Nutanixは認定ハードウェアを使ったHCI(ハイパーコンバージドインフラ)として購入するもの」というイメージが一部崩れつつある。

 まず、「72%」という数字がある。HCIで始まったNutanixは、当初VMwareのハイパーバイザー「VMware ESXi」を搭載して利用するケースが非常に多かった。だが、次第に自社の「Nutanix AHV(Acropolis Hypervisor)」の比率を高めてきた。直近では72%(Nutanixをインストールしたマシンにおいて、AHVを使うコアの比率)に達したという。

 一方で、VMwareで使われてきた既存ハードウェアへの対応が進む。これにより、例えばVMwareの従来のソフトウェアライセンス(正確にはサポート契約)とハードウェアの更新時期がずれているケースでの、ハードウェア再利用によるNutanixへの切り替えもやりやすくなる。

 同社はまた、HCIの概念から一歩踏み出して外部ストレージに対応し、ユースケースを広げる動きを見せている。執筆時点では「Dell PowerFlex」のサポートを発表済み。

 VMwareからの移行では、従来から提供してきたアプリケーション/データ移行ツールの「Nutanix Move」で、最近では「VMware Cloud on AWS」への対応も発表している(早期アクセス段階)。これにより、例えばVMware Cloud on AWSから「Nutanix Cloud Clusters on AWS」への移行が簡単にできるようになるという。

AI/生成AIではパートナーシップも

 生成AIに関しては、秘匿性の高いデータを使った生成AIアプリケーションをオンプレミスで構築、運用するための基盤として、従来より「Nutanix GPT-in-a-Box」を提供している。Broadcomで言えば、「VMware Private AI」に相当するものだ。2024年5月には新バージョン「GPT-in-a-Box 2.0」を発表。Hugging FaceのLLM(大規模言語モデル)ライブラリやNVIDIAの「NVIDIA NIM」を統合的に使えるようになった。また、GUI(Graphical User Interface)を新たに搭載し、アクセス制御の機能を強化した。

 また、Nutanixは、機械学習/AIのツールや生成AIアプリケーション、コンサルティングを手がける企業との連携も強化している。

 10月10日にニュータニックス・ジャパンは、DataRobot Japanおよび日立システムズとの提携を発表した。GPT-in-a-Box上でDataRobotを使い、予測AI/生成AIのモデル構築が、専門家でなくてもできるような、さらにターンキー的なソリューションを提供する。日立システムズは、両社の製品を扱ってきた経験を生かし、インテグレーションサービスを提供する。

 なお、AI/生成AIでは、ハイブリッド/マルチクラウドの構成が広がることが常識となっている。これについてNutanixは、後述のようにマルチクラウドのコンテナ基盤を活用し、対応していく。

コンテナプラットフォームではマルチロケーション対応が進む

 Kubernetes/コンテナ基盤について、Nutanixは「Red Hat OpenShift」に依存するかのような姿勢を見せていたことがあった。だが、現在同社は自社のKubernetes関連製品が事業戦略に重要な役割を果たすものと位置付けている。

 その背景には、やはり生成AIブームがあると考えられる。生成AIアプリケーションはコンテナベースで開発・運用され、しかもその構成がクラウド、エッジ(、さらに場合によってはオンプレミス)にまたがるケースが多く、機能的な移動も必要になるからだ。

 2024年5月、Nutanixは「Nutanix Kubernetes Platform(NKP)」という名称で、自社のコンテナプラットフォームをあらためて発表した。NKPは、基本的にはCloud Native Computing Foundation(CNCF)がリリースするKubernetesをそのまま使ったKubernetesディストリビューション(「バニラKubernetes」とも呼ばれる)。NKPはまた、複数ロケーションに散在するさまざまなKubernetesディストリビューションを統合管理することもできる。

 一方でNutanixは、あらゆる認定Kubernetesディストリビューションに適用できるデータ管理機能を発表している。

 「Nutanix Data Services for Kubernetes(NDK)」と名付けられたこの機能は、元MesosphereのD2iQから獲得した技術。アプリケーションとコンテナ、永続ストレージを結び付けて管理した上で、データの複製や移行、ディザスタリカバリなどを実現するものだという。

 さらに同社は、NutanixのOSである「Nutanix AOS」の次の進化についても紹介している。これは各種Kuberenetes基盤上でコンテナとして動く小型AOSで、例えばプロキシのように動作し、クラウド、エッジ、オンプレミス間のデータ移動が行えるようになるという。

 なお、ニュータニックス・ジャパンはRedHatとの提携関係が従来通りだと強調している。各種の機能や要件対応を一体化したOpenShiftの魅力は変わることがないという。

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