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東京海上日動、対話型AIを自社サイトに実装サイレントカスタマーを抑制

AI時代、顧客体験をどう再設計するか。

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 RightTouchは2025年8月13日、同社の対話型AIエージェント「スマートエージェント」を東京海上日動火災保険が導入し、同社のWebサイトに適用したと発表した。

 スマートエージェントは、Webや電話などの顧客接点で利用できる生成AI機能群「Right Intelligence」の一つ。RightTouchのプロダクト基盤が持つ顧客のWeb行動データやナレッジデータ、LLM(大規模言語モデル)を活用することで、顧客の疑問や困りごとを分析して課題を理解。適切なFAQ提示、最適な問い合わせチャネルへの誘導など、ハルシネーションの発生を制御し、顧客へのAIネイティブなサポート提供を実現するという。

 今回の適用により、顧客が東京海上日動マイページへログインすると、これまでの行動データを活用して顧客の状況を自動で識別。希望する手続き内容に導く導線を個別に提示することで、各種保険の名義変更や住所変更、契約内容の確認など、顧客が望む手続きや作業を円滑に行えるようサポートする仕組みが整ったという。

対話型AIで自社サービス全体の向上を狙う

 損害保険業界では保険商品そのものの煩雑さや多岐にわたる手続きなどで、顧客にとっては疑問が発生しやすい側面がある。Webサイトで所定の手続きを進めようとしても、途中で進め方が分からなくなり離脱してしまう「サイレントカスタマー」の割合も多い。カスタマーサポートでも対応に限界があり、既存顧客の離反、売上減少、機会損失などの課題が生じがちという課題がある。東京海上日動でも「お客様サポートページ」の「手続き一覧」で所定の手続き画面に誘導する仕組みを提供していたが、サイレントカスタマーが一定数存在することが課題となっていた。

 同社では今回の適用を機に、「24時間365日対応可能なサポート体制の実現」「対話型エージェントによる自己解決の促進」「煩雑な手続きを完了するための適切な誘導」の実現を目指すという。同時に、オペレーターの負荷軽減やサービス全体の改善を進める。今後はWebだけではなく、カスタマーセンターなどさまざまな顧客接点でAIを活用し、24時間サポート体制を整備するなど飛躍的な利便性向上を目指すという。

 なお、AIエージェントによる顧客対応が多くの企業に浸透していく一方で、「AIエージェントによる自動対応が増加することを想定し、人間の対応とAIの対応を適切に区別する動的ルーティングを導入する」といった「サービスモデルの見直し」や、データのプライバシーやセキュリティ、エスカレーション(対応の引き継ぎ)といった「AIによる対応の管理ルールの策定」など、「新たな課題が生まれる」というGartnerの指摘もある。DX(デジタルトランスフォーメーション)トレンドでも指摘されてきたように、AIというツールの適用も局所的な取り組みではなく、自社ビジネス/サービス全体を見据えた全社的かつ継続的な取り組みが望まれる。

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