国土交通省が「MCPサーバ」公開 APIの知識不要、対話形式でのデータ取得が可能に:非エンジニアにも開かれたデータ基盤
国土交通省は、APIの知識不要で、自然言語による対話形式で「国土交通データプラットフォーム」からデータ検索が可能なMCPサーバを公開した。
「MCP」(Model Context Protocol)は、大規模言語モデル(LLM)などを使ったAIアプリケーションと、外部のツールやデータとの連携を標準化するプロトコルだ。2024年にAnthropicが発表したもので、AIが外部サービスを安全かつ一貫性のある形で利用できるように設計されている。
国土交通省は2025年11月4日、このMCPを活用したアプリケーションとして、APIの知識は不要で、自然言語でデータ検索ができる「MLIT DATA PLATFORM MCP Server」を無償公開した。
MLIT DATA PLATFORM MCP Serverは、国土交通省のデータ利活用基盤「国土交通データプラットフォーム」のAPIに接続し、利用者がAIと対話するだけでデータを検索・取得できるMCPサーバだ。
API知識不要でデータ検索が可能に
ユーザーはAPI仕様の詳細を知らなくても、「新宿駅近くの避難所を5件」「多摩川の地質データをダウンロードしたい」といった自然言語で利用できる。公式サイトではデモ動画も公開されており、実際の検索プロセスを視覚的に確認できる。
「都庁付近で最も交通量の多い道路は」「災害に関するデータの種類は」といった曖昧な質問を入力すると、MCPサーバが必要なクエリを生成してプラットフォームに問い合わせる。取得したメタデータやファイルのURLを対話の続きで提示するため、条件の追加や並べ替え、件数制御などの再指示が容易だ。専門的な前処理をAIが肩代わりする設計となっている。
MCPがLLMと外部APIの連携を標準化
MCPは、LLMなどを使ったAIアプリケーションと外部ツールやサービスとの連携を標準化するもの。従来の連携で課題となっていた、ツールごとの複雑な個別対応を解消し、AIによる外部ツールやサービスの利用を効率的にする。従来、開発者がAPIを利用する際に、エンドポイントの仕様理解やパラメーターの設計、認証の設定、レスポンスデータの解析といった工程を習得する必要があり、一定の学習コストがかかっていた。
国土交通データプラットフォームのMCPサーバでは、利用するメリットとして以下が挙げられている。
- APIに関する専門的な知識がなくても、誰でも簡単に国土交通データプラットフォームからデータの検索と取得が可能
- 外部MCPサーバと合わせてより幅広いデータ検索と分析が可能
同プラットフォームではAPI知識のない現場担当者でもスムーズに業務に活用できる仕組みが整えられており、利用ハードルを下げ、より多くのユーザーに開かれた設計となっている。
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