Google、「Gemini」をオンプレミスで利用可能に 「Google Distributed Cloud」を機能拡張:クラウドへの接続なしに最先端のAI技術を利用
Google Cloudは、オンプレミスなどにクラウド環境を構築できる「Google Distributed Cloud」で同社の大規模言語モデル「Gemini」を利用できるようにしたと発表した。
Google Cloudは2025年8月28日(米国時間)、オンプレミスやエッジ環境で同社の大規模言語モデル(LLM)「Gemini」を利用可能にしたと発表した。同社の「Google Distributed Cloud」(以下、GDC)を基盤としている。Googleは「データセキュリティやデータ主権に関する厳格な要件を持つ企業や政府機関も、要件を満たしながらGeminiを利用できるようになる」としている。
Google Cloudに接続しなくても利用可能
GDCは、Google Cloudのインフラとサービスをオンプレミスやエッジ環境に拡張できるフルマネージド型サービスだ。Geminiの利用形態は「GDC air-gapped」と「GDC connected」の2つがある。
1.GDC air-gapped
オンプレミスやエッジ環境からGoogleのインフラやサービスを直接ホストし、管理できる形態だ。Google Cloudに接続しなくてもいいため、ユーザー組織が厳格なデータ主権および規制要件を満たすのに役立つ。
2.GDC connected
管理や監視の機能はクラウド(Google Cloud)に配置し、ワークロードやデータをオンプレミスやエッジ環境に配置する形態だ。Google Cloudに接続するため、レイテンシや接続の柔軟性を損なわずに済む。
Googleによると、GDC air-gappedではGeminiの一般提供(GA)版が利用でき、GDC connectedではプレビュー版が利用可能だ。
組織のニーズに合わせた安全なAIインフラが必要
Googleは、「生成AI(人工知能)を使ってビジネス上の価値を高めるには、AIモデルを使うだけでは不十分だ。システムの規模に応じて柔軟に拡張できるAIインフラ、最新の基盤モデルを備えたライブラリ、高性能な推論処理を実施するサービス、事前構築済みAIエージェントを含む基盤が必要だ」と述べている。
GDCは以下のように、AIインフラとGeminiの力を組み合わせたエンドツーエンドのAIスタックで構成されている。Googleは「この仕組みで、あらゆるAIワークロードを加速および強化する」としている。
このニュースのポイント
Q: Google Cloudが発表した新しい取り組みは何か?
A: 「Google Distributed Cloud(GDC)」を介して、オンプレミスやエッジ環境で大規模言語モデル「Gemini」を利用可能にした。
Q: GDC air-gappedの特徴は?
A: Google Cloudに接続せずに利用でき、厳格なデータ主権や規制要件を持つユーザーに適しており、Geminiの一般提供版が利用可能。
Q: GDC connectedの特徴は?
A: 管理や監視機能はクラウドに置き、データやワークロードはオンプレミスやエッジに配置できる。Google Cloudに接続するため柔軟性や低レイテンシを確保でき、プレビュー版が利用可能。
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