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県を跨ぐ分散型AIインフラ構築を目指す技術実証 GMO、NTT東西、QTnetの4社で実施疑似遠隔環境では性能低下は約12%

2025年11〜12月に福岡〜東京間(約1000キロ)のGPUとストレージをIOWN APNで接続。

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 GMOインターネットは2025年10月2日、NTT東日本、NTT西日本、QTnetと共同で、「分散型データセンター」の構築と社会実装を目指す技術実証を開始した。「GMO GPUクラウド」のGPUと大容量ストレージを、低遅延通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)APN(All-Photonics Network)」を活用して県を跨いで接続する。

 従来、ストレージを自社拠点など特定の場所に保管したいという地理的制約や通信遅延の制約からGPUとストレージの隣接設置が必須とされ、柔軟なAI(人工知能)開発インフラの構築における課題となっていた。本実証は、この課題の解決を目指すという。


AI開発インフラの構築における課題例

 2025年11〜12月に、福岡のデータセンターに設置したGPUと東京のデータセンターのストレージをIOWN APNで接続し、画像認識と言語学習の2タスクを用いて性能評価を行う。従来の拠点内の隣接時や一般的なイーサネット専用線での接続時とタスク完了時間を比較し、商用化に向けた実用性を検証する。

 事前検証では、2025年7月に福岡〜東京間(約1000キロ)を想定した疑似環境を遅延調整装置「OTN Anywhere」を用いて構築。GMO GPUクラウドで先述の2タスクをテストした結果、福岡〜東京間相当の15ミリ秒の遅延量でも性能低下は約12%にとどまり、疑似遠隔環境での安定動作を確認したという。

 各社の役割として、GMOインターネットはGPU・ストレージ提供、アプリケーション実装、ベンチマークテストを担当し、NTT東西がIOWN APNの技術検証と実装環境の提供、QTnetが福岡のデータセンター内の実証環境提供を担う。

 4社は「本実証の成功は、IOWN構想が掲げる、現状のICT技術の限界を超えた新たな情報通信基盤の実現に向けた重要な一歩になる」としており、今後はIOWN実回線を用いた本格的なフィールド検証を通じて商用実装への可能性を探る。将来的には、全国の拠点をIOWNで結び、どこからでもAIリソースにアクセスできる分散型社会の構築、全国規模でのAIリソースの最適配置や災害に強い分散型社会基盤の実現などを目指すという。

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