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AIエージェントの本番運用を支援する「Amazon Bedrock AgentCore」リリース7つのマネージドサービス群がAWSの東京リージョンで利用可能に

Amazon Web Servicesは、AIエージェントの構築から本番運用までを支援するマネージドサービス群「Amazon Bedrock AgentCore」の一般提供を開始した。AIエージェント開発のライフサイクル全体を支援する7つのサービスが利用できる。

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 Amazon Web Services(AWS)は2025年10月13日(米国時間)、AI(人工知能)エージェントの本番運用を支援するマネージドサービス郡「Amazon Bedrock AgentCore」の一般提供を開始した。AWSの東京リージョンを含む、9つのAWSリージョンで利用できるという。

 AgentCoreは、AIエージェント開発のライフサイクル全体にわたって支援する7つのマネージドサービスの総称だ。いずれのサービスも一般提供開始(GA)に伴い、「Amazon Virtual Private Cloud(Amazon VPC)」「AWS PrivateLink」「AWS CloudFormation」をサポートしており、「開発者はエンタープライズレベルの高度なセキュリティとインフラ自動化機能を備えたAIエージェントをデプロイ(展開)できる」と、AWSは述べている。

 AgentCoreで提供される7つのサービスは次の通り。

「AgentCore Runtime」

 エージェントのワークロードに対応するため設計された実行環境。必要に応じてセッション数を一から数千まで自動スケーリングし、最大で8時間かかるタスクの実行をサポートする。マイクロVM(仮想マシン)によってセッション単位でエージェントの実行を隔離し、セキュリティを確保するという。

 GAに伴い、「A2A」(Agent-to-Agent)のサポートが追加されており、今後全てのAgentCoreサービスでA2Aをサポートする計画だ。

「AgentCore Code Interpreter」

 エージェントによるコードの生成と実行機能を提供するサービス。マイクロVMにより、コードは隔離された環境で実行される。

「AgentCore Browser」

 エージェントがWebアプリケーションと大規模に対話できるようにするためのサービス。Webサイトからの情報収集や、Webベースの社内システム操作を自動化するようなエージェントの構築を支援する。

「AgentCore Gateway」

 既存アプリケーションのAPIやAWS Lambda関数を、MCP(Model Context Protocol)互換のツールに変換するサービス。GAに伴い、既存のMCPサーバへの直接接続にも対応しており、各種ツールへのアクセスを集約するエンドポイントとして機能する。

「AgentCore Identity」

 エージェントが各種ツールへアクセスする際の認証/認可を管理するサービス。OAuthに対応し、ユーザーから委任された権限で動作するケースや、エージェント自身に付与された権限を使用するケースを区別して管理できる。

「AgentCore Memory」

 エージェントが対話のコンテキストを維持し、過去のやりとりから学習することを支援するサービス。ユーザーの好みや過去の対話履歴を記憶する、パーソナライズされたエージェント体験の提供を支援する。

「AgentCore Observability」

 エージェントの推論、実行プロセスの可観測性を提供する。エージェントの全ての実行を追跡し、問題発生時のデバッグやパフォーマンス最適化を支援する。AWSによると、OpenTelemetryと互換性があり、既存のオブザーバビリティツールとも統合できるという。

 「組織は、7つのAgentCoreサービスを組み合わせたり、個別に使用したりできる。『CrewAI』『Google Agent Development Kit』『LangGraph』『LlamaIndex』『OpenAI Agents SDK』『Strands Agents』などのエージェント構築用フレームワークや、AIモデル(Amazon Bedrockで提供されるモデルやサードパーティーのモデルの両方)を自由に選択可能であり、独自の開発スタイルを維持しながらエージェント構築を進めることができる」と、AWSは述べている。


 企業において生成AIの活用が進む中、PoC(概念実証)のフェーズを終え、ビジネスプロセスに本格的にAIを導入、定着させるフェーズへと変化しつつある。クラウドベンダーや生成AIベンダーがAIエージェントを構築、運用するためのツールを提供する今、どのツールやフレームワークを選択するかといった技術的な議論だけではなく、自社のセキュリティポリシーをどうエージェントに順守させるかなど、ガバナンス体制を構築するための組織的な取り組みや検討も不可欠といえるだろう。

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