AWS Lambdaでチェックポイントや最長1年間無料で待機できる機能、EC2インスタンスを選んだ関数実行も
AWSは「AWS re:Invent 2025」で、「AWS Lambda」に関し、ワークフローの状態管理機能と、EC2インスタンスを選ぶことのできる機能を発表した。どちらもAIエージェントのオーケストレーションなど、安定的なワークフローを高い信頼性の下でコスト効率よく実行するユースケースに適しているという。
Amazon Web Services(AWS)は年次イベント「AWS re:Invent 2025」で、サーバレスコンピューティングの「AWS Lambda」に関して2つの発表を行った。複数ステップのワークフローに対応する「AWS Lambda Durable Functions」と、EC2インスタンス上でAWS Lambdaを実行できる「AWS Lambda Managed Instances」だ。
Lambda Durable FunctionsはLambdaによるプロセス実行で信頼性を確保するための機能。一方、Lambda Managed Instancesは従来のLambdaの欠点を補うもの。ECインスタンスを選んでLambda関数を動かせる。
Lambdaで状態管理ができるLambda Durable Functions
Lambda Durable Functionsは、マルチステップで実行をチェックしたり、人間の承認を待たなければならない長期間にわたるプロセスを、Lambda関数で構築したいケースに使える状態管理機能。
プロセスを追跡し、実行エラーが生じた場合には前回のチェックポイントまで自動的に戻って再開する。また、事前に指定した期間、実行を中断することができる。最長で1年間の中断(待機)ができ、待機中は料金がかからないという。
Lambda Durable Functionsは、複数ステップにまたがる支払処理や、AIエージェントオーケストレーションで、プロセスの信頼性を高めるための機能。このために自動リトライとチェックポイント機能を追加する「Step」メソッド、指定期間実行を中断した後にプロセスを再開する「Wait」メソッドが使える。
Lambda関数によるプロセスの実行状況は、Lambdaコンソールあるいは「Amazon EventBridge」のイベントを通じてモニターできる。
指定EC2インスタンス上で複数のLambda関数を実行できる「 Lambda Managed Instances」
Lambdaはサーバレスであり、EC2インスタンスを意識せずに処理を実行できる点に人気がある。だが、特定のCPU利用や、コスト最適化のニーズに応えきれていなかったとAWSは説明する。
そこで発表したのが Lambda Managed Instances。EC2インスタンスを選び、その上でLambda関数を実行できる。安定的に実行される関数を同一インスタンス上で複数動かすことで、コスト最適化につなげられるという。
EC2インスタンスはAWSが管理するため、従来通りサーバレスコンピューティング環境として利用できる。
ユーザーは要件に応じてEC2インスタンスのプロファイルを選択して使う。例えば、コスト最適化のためにAWS Graviton4ベースのインスタンスを選ぶなどが可能。また、Compute Savings PlansやReserved Instancesなどに対応するため、Amazon EC2オンデマンド料金と比較して最大72%の割引を得られるという。
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