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AIエージェントの監査証拠を標準化 特定クラウドに依存しないオープン仕様「TRACE」:AIエージェントの機密ワークロードを守る暗号証明の標準規格

The Linux FoundationはAIエージェントなどを対象に、検証可能な実行時証拠を実現するオープン仕様「TRACE」を受贈した。OPAQUEから同仕様の提供を受け、今後は中立的な立場からTRACE仕様の管理を支援するという。

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 The Linux Foundationは2026年8月25日(米国時間)、OPAQUE社から提供された新仕様「TRACE(Trust, Runtime Attestation and Compliance Evidence)」の受贈を発表した。TRACEは、AIエージェントや機密ワークロードを対象に、ハードウェアで検証済みの実行時およびコンプライアンス証拠を提供する新たなオープン仕様だ。

 同仕様はAMD、Intel、Microsoft、OPAQUE、Technology Innovation Institute(TII)の5つの企業・機関による共同開発により生まれた。現在、AIエージェントやオープンウェイトモデルの導入を進める組織において、機密データがポリシー通りに処理されているかどうかを証明するための、信頼できる一貫した方法が求められている。

 TRACEは、信頼性の高いガバナンス記録を可能にする、ベンダー中立で標準化されたオープンな証拠レイヤーを形成することで、こうしたニーズに応えるものだ。

ポータブルで検証可能なガバナンス記録を作成

 TRACEは、ハードウェアの仕組みを用いて標準化されたガバナンス記録を作成する。この記録には、実行環境やソフトウェア、ポリシー、データの分類、ツールの使用状況が結び付けられる。生成された記録は、暗号化技術を用いて検証可能な「ポータブルな成果物(アーティファクト)」として扱われ、クラウドやコンフィデンシャル・コンピューティング環境をまたいで、ワークロードと共に移動する仕組みだ。

 なおTRACEは、完全に新しいセキュリティの枠組みを導入するものではなく、「RATS」「EAT」「SLSA」「SCITT」「SPIFFE」「EAR」といった業界で実証済みの既存の標準規格を基盤としている。これらを共通の証拠レイヤーとして構成し、企業のインフラやクラウド、ソブリンAI環境全体で機能するように設計されているという。

 初期の仕様は現在のAIエージェント構造に焦点を当てて作られているが、同時に将来的なマルチエージェントやコンフィデンシャル・コンピューティングへの展開にも対応できる基盤を提供するとしている。

公開から10週間で約13万5000回ダウンロード

 TRACEは、2026年6月に開催された「Confidential Computing Summit」において最初に公開され、その後10週間で「PyPI」(Python Package Index)において約13万5000回のダウンロード数を記録している。The Linux FoundationはTRACEに対して、特定のベンダーに依存しない中立的なガバナンスを提供し、長期的な普及と持続可能性を支援する。

 TRACEの意義について、The Linux FoundationでCEO(最高経営責任者)のジム・ゼムリン氏は「自律型システムを普及させるためには、独立したクロスプラットフォームでの運用整合性の証明が必要だ」と述べている。

 OPAQUEのイムラン・シディキ氏は「実行時の証拠が業界標準として機能するには、特定のベンダーに管理されず、ポータブルかつ独立して検証可能である必要がある。The Linux Foundationへの提供により業界全体で相互運用可能な標準を形成するためのベンダー中立な場所が得られた」としている。

 なおTRACEのオープン仕様や技術ドキュメント、レファレンス実装は、専用サイト(trace.agentrust-io.com)および「GitHub」で公開されている。

参画企業がハードウェアや暗号化の技術基盤を提供

 TRACEの策定には、ハードウェアおよび暗号技術の主要ベンダーがそれぞれの強みを生かして貢献している。AMDは「AMD SEV」を活用した実行証拠の構築を担い、Intelはハードウェアベースのアテステーションによる暗号学的検証のスケール化を推進。TIIは、将来的な暗号解読リスクを見据えた耐量子保護(Post-Quantum Protection)と認証レイヤーを提供している。

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