サンリオも悩んだ「AI活用が個人止まり」問題 “AIとの対話”でチーム開発を変えた2日間とは:AIの成果を“個人の生産性向上”にとどめないためには
AIでエンジニア個人の生産性を高めても、それがチームの開発力の向上につながるとは限らない。AI活用を組織の開発プロセスに広げるにはどうすればよいのか。サンリオの取り組みを見てみよう。
キャラクタービジネスを展開するサンリオのデジタル事業開発部は、キャラクターのファンやクリエイターなどが利用するデジタルプロダクトの企画・開発を担う。同社のデジタルプロダクトには、キャラクターや作品などの知的財産権(IP)保有者とファンがつながる創作サービス「キャラフォリオ」や、イベントでの体験を共有するスマートフォン向けアプリケーション「Omoide Badge」(オモイデバッジ)などがある。
サンリオのデジタル事業開発部は2025年に、デジタルプロダクトの開発の内製化にかじを切った。AnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」を中心に、AIを活用した開発を進めてきたという。AIによってエンジニア個人の生産性は向上したものの、チームとして上流工程からAIをどう組み込むかが課題となっていた。
“個人止まり”のAI活用を「チームの開発」につなげた2日間とは?
AI活用の成果を“個人止まり”にしないために、サンリオのデジタル事業開発部は新たな取り組みに着手した。その結果、チームとしてAI活用の成果を得るための手掛かりを得たという。その中身を見ていこう。
2026年6月11〜12日の2日間、サンリオのデジタル事業開発部はアマゾン ウェブ サービス ジャパンの「AI-DLC Unicorn Gym」(以下、UG)に参加した。UGは、Amazon Web Services(以下、AWS)が提唱する開発手法「AI-DLC」(AI-Driven Development Life Cycle)について、実践を通じて体験するAI活用ワークショップだ。AI-DLCは、要件定義から設計、実装、テストまでの開発ライフサイクル全体にAIを組み込みつつ、人間が主導権を持つ開発手法を指す。
UGでは、参加者はサンリオの実際のデジタルプロダクトを題材に、AI-DLCの各フェーズを体験した。AI開発ツールとしてAWSの「Kiro」を使い、AIエージェントを活用して各フェーズを進めた。
開発するアプリケーションの目的や価値などを整理するフェーズである「インセプション」(Inception)では、AIエージェントとの対話を通じて「何を」「誰に」「どんな価値を」「どう検証するか」を整理し、言語化した。この対話の手順を、AIエージェントの「スキル」(特定の作業を実行するための仕組み)として定義し、手順を改善するためのステップもスキルに組み込んだ。
「AIとの対話」を標準プロセスに “プロマネのAIエージェント化”も
インセプションの段階で開発の目的を言語化することで、プロジェクトメンバー全員が同じ情報を共有した上で開発を進められることが分かった。企画段階で定めた目的を理解した上で開発を進めることで、手戻りを大幅に減らせるとの手応えを得たという。
サンリオのデジタル事業開発部は今後のデジタルプロダクト開発に、今回のUGで得た知見を導入する考えだ。まず今回作成したAIエージェントとの対話スキルをチームの標準プロセスとして運用し、AI-DLCの考え方を日常の開発に浸透させる。プロダクトマネジャーの作業も含めてAIエージェントに任せる開発フローの実現も見据える。アマゾン ウェブ サービス ジャパンは2026年8月21日、公式ブログで本事例を公開した。
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