高崎市が約3800台の端末から「Google Workspace」へ直接接続 ネットワークをどう変えた?:クラウド、生成AI活用を見据えて刷新
セキュリティを重視してインターネット接続を制限してきたネットワークで、クラウドサービスや生成AIをどう活用するか。群馬県高崎市は、職員が使う約3800台の端末やグループウェアの刷新を機に、ネットワーク構成を見直した。
クラウドサービスや生成AIの業務利用が広がる一方、特に自治体などセキュリティを重視してインターネット接続を制限してきた組織では、既存のネットワーク構成とクラウド活用をどう両立するかが課題になる。
群馬県高崎市では、市民サービスの利便性向上や庁内業務の効率化に向けてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。同市は、職員が利用する端末やオンプレミス型グループウェア、庁内ネットワークが更新時期を迎えたことを機に、より柔軟で働きやすい業務環境への刷新に乗り出した。
“閉じたネットワーク”からGoogle Workspaceへ、どう直接接続?
高崎市は端末の刷新と併せて、グループウェアを「Google Workspace」へ移行する方針を決定した。これに伴い、職員が日常的に利用する端末からGoogle Workspaceへ直接アクセスできるよう、ネットワーク構成も見直すことにした。
自治体のネットワークでは、マイナンバー利用事務系、LGWAN(Local Government Wide Area Network)接続系、インターネット接続系を分離する、いわゆる「三層分離」を基本とした「αモデル」が広く採用されている。
高崎市は今回、LGWAN接続系端末から、インターネット上のクラウドサービスを利用できる「α'モデル」へ移行。許可した通信だけをインターネットへ直接振り分けるローカルブレークアウトを活用し、LGWAN接続系端末からGoogle Workspaceへ直接アクセスできる環境を構築した。
高崎市がネットワーク基盤に求めた要件は次の通り。
- 約3800台の端末からGoogle Workspaceへアクセスしても安定した通信を維持できる性能
- Google Workspaceの組織アカウントと個人アカウントを識別し、個人アカウントからのアクセスを制御できる機能
- クラウドサービス側で頻繁に発生するドメイン変更への自動追従
- 日常的な設定変更や管理作業を抑えられる運用性
- 自治体のα'モデルおよびローカルブレークアウト環境における導入実績
これらの要件を満たす仕組みとして、高崎市は統合型ADC(アプリケーションデリバリーコントローラー)とファイアウォールの機能を備えた「A10 Thunder CFW」を採用した。自治体のローカルブレークアウト基盤における導入実績も、選定理由の一つになったという。
「Google Workspaceは直接接続」、個人アカウントは制御
高崎市はLGWAN接続系ネットワークにA10 Thunder CFWを配置し、許可したGoogle Workspaceの通信をインターネットへ直接振り分けるローカルブレークアウト環境を構築した。
ポイントになるのが、単にGoogle Workspaceへの通信をインターネットへ振り分けるだけではなく、利用するアカウントまで含めて制御していることだ。
A10 Thunder CFWのSSL/TLS可視化機能によってGoogle Workspaceへの通信を識別し、職員が利用する組織アカウントと個人アカウントを制御している。クラウドサービスのドメイン変更に自動追従する機能も備えており、運用担当者が通信先情報を手作業で更新する負担を軽減した。
現在は「Gmail」をはじめ、「Google Meet」「Google Chat」「Googleドライブ」などを活用しており、Googleが提供する生成AI「Gemini」やAIリサーチツールも利用できる。「Googleカレンダー」の機能を拡張する「rakumo」や、クラウド上でライセンス認証が必要なサービスについても、ローカルブレークアウトを利用している。
電話中心の連絡からチャットへ
本稼働から約半年にわたり、高崎市では致命的な停止のない安定したネットワーク運用が続いているという。クラウドサービスのドメイン変更には自動追従するため、それに伴う管理作業も削減した。
日常的に利用するLGWAN接続系端末からGmailやGoogle Chatを直接使えるようになったことで、働き方にも変化が表れている。電話中心だった職員間のコミュニケーションはチャットへの移行が進み、情報共有が効率化したという。
Gmailへの移行によって従来のメール容量不足は解消し、Googleドライブの活用でファイル保存領域の拡大と検索性の向上も実現した。Geminiなどを活用した情報検索やマニュアルのナレッジ化も進めている。
高崎市は今後、現場でGoogle Workspaceをより効果的に活用できる人材の育成を進め、全庁的なDXをさらに推進する方針だ。クラウドサービスへの接続先を増やすだけでなく、クラウドを活用して業務や住民サービスをどう変えていくかを検討しながら、利活用を深める。
一方、クラウドや生成AIの利用範囲が広がれば、ネットワークからクラウドへ接続できるようにするだけでは十分ではない。高崎市では、セキュリティに関するルールについても継続的に検討する。生成AIの利用状況の可視化や秘匿情報の送信防止を支援する「A10 AI Firewall」などのセキュリティ機能にも関心を寄せているという。
ネットワーク機器ベンダーのA10ネットワークスが2026年8月20日、本事例を発表した。
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