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茨城県鹿嶋市は「公式Web×Claude」で市民対応をどう変えた? Claude Codeで内製化も人口減少の中「生成AIを使わない手はない」(1/2 ページ)

限られた職員で行政サービスをどう維持するか――。鹿嶋市は本格的に「生成AI」の活用に乗り出した。まずは公式Webサイトと「Claude」で市民対応業務を改善。「Claude Code」による内製化にも着手している。狙いやその仕組みについて同市に取材した。

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 「今より少ない職員で、行政サービスをどう維持していくか」――。人口減少が進み、行政を取り巻く環境が変化する中、限られた職員と財源で持続可能な行政運営をどう実現するかは、自治体にとって差し迫った課題だ。

 茨城県鹿嶋市(以下、鹿嶋市)は、職員の業務負担を軽減しながら市民サービスを維持・向上する手段の一つとして、生成AIを活用し始めた。市の公式Webサイトの情報を基に市民からの問い合わせに回答するAIチャットボットを構築し、2026年4月から本格運用を開始した。同市にとってこの取り組みは、生成AIを行政サービスや庁内業務に広げていくに当たっての第一歩となる。

 自治体特有のシステム環境がある中で、生成AIの活用をどう広げていく方針なのか。取り組みの背景や狙い、問い合わせ対応用のAIチャットボット構築の仕組みなどについて同市に聞いた。

人口減少の危機感 まず「公式Web×Claude」で市民対応を改善

 鹿嶋市では、2023年に市長直轄組織としてDX・行革推進室を立ち上げた。背景にあったのは、人口減少が進む中で、限られた財源と職員で行政サービスを維持していかなければならないという危機感だ。

 同市ではこれまで、オンライン申請やRPA、ノーコードツールなどを活用した業務改善を進めてきた。その中で、新たな手段として期待を寄せているのが生成AIだ。背景には、人口減少がさらに進んだ将来、現在より大幅に少ない職員で行政サービスを維持しなければならなくなるとの問題意識がある。

鹿嶋市の小堀修司氏
鹿嶋市の小堀修司氏

 「将来的には、今の半分くらいの職員で現在の業務を回さなければならない時代が来るかもしれない。生成AIは、簡単な指示ややりとりからさまざまなものを作ることができる。職員の負担を増やさずに業務を変えていく上で、活用しない手はない」。鹿嶋市の小堀修司氏(DX・行革推進室 課長)はこう話す。

 生成AIを有効に活用できる業務を検討するに当たり、現場の課題を洗い出す中で浮かび上がったのが、市民から繰り返し寄せられる問い合わせへの対応だった。例えば、医療保健や健康診断、妊婦の手続きなどを担当する窓口には、同じような内容の問い合わせが電話で繰り返し寄せられる他、直接窓口を訪れる市民に対応ケースもある。一件当たりの対応は数分で済むこともあれば、10〜20分ほどかかることもあり、その都度職員が個別に対応する必要があった。

 まずは現場の声を拾い上げ、職員がどのような業務に課題や負担を感じているのかを確認した。「その中で、こうした問い合わせ対応に負担を感じているという声が多くあり、生成AIを活用する対象として着目した」(小堀氏)という。

 一方、生成AIをはじめとする新しい技術を活用するには、専門的な知識やノウハウも必要になる。自治体では人事異動もあり、こうした専門人材を継続的に確保することは容易ではない。そこで鹿嶋市は、民間の知見を取り入れるため、2025年に内製化支援などを提供しているセルプロモートと「DX推進のための支援事業に関する連携協定」を締結。市民からの問い合わせ窓口におけるAIチャットボットの実証実験(PoC)に着手し、市民からのフィードバックも踏まえて効果を検証することにした。

ホームページの情報からRAGを生成、Claudeで回答を作成

 鹿嶋市は生成AIの効果や回答精度を検証するため、2025年12月18日から2026年2月28日までの73日間、AIチャットボットの実証実験を実施した。このAIチャットボットは、鹿嶋市の公式Webサイトに掲載されている情報を基に回答を生成する仕組みだ。対象となるWebページを週1回クローリングし、取得した情報をチャンク化してRAG(検索拡張生成)で参照できるようにする。利用者から質問を受けると、関連する情報を検索し、その内容を基にClaudeが回答を生成する。LLM(大規模言語モデル)にはAnthropicの「Claude Sonnet」を採用。チャットボットの構築にはノーコードツール「Voiceflow」を利用し、APIを介してLLMと連携させている。

年間590時間を削減 職員は「人にしかできない業務」に注力

 鹿嶋市ではPoCの結果を踏まえ、実証期間中の利用水準が年間を通して続いた場合、年間の業務削減効果は約590時間になると見込んだ。「年間を通した利用を想定すると、問い合わせ対応にかかる職員の作業時間を削減でき、その分を政策立案や市民一人一人への個別対応に振り向けることができる。そうした効果は十分に見込めると判断した」(小堀氏)

実証実験の結果
実証実験の結果(提供:セルプロモート)

 実証実験では、AIチャットボットの利用者にアンケートを実施し、118件の回答を得ている。利用者からの評価はおおむね好意的だったといい、83%が「役に立った」と回答。「市のホームページより分かりやすい」「24時間利用できる」「言葉遣いが丁寧」といった声が寄せられた。AIチャットボットへの問い合わせだけで必要な情報を得て、手続きなど具体的な行動につながったケースも確認できたという。

鹿嶋市の鈴木小百合氏
鹿嶋市の鈴木小百合氏

 前述の通り、同じ内容の問い合わせが電話、窓口を問わず1日に何件もあるため、職員は定型的な回答を何度も行うことになる。鹿嶋市が目指すのは、こうした定型的な対応そのものを減らし、そこで生まれた時間を、より人の判断やきめ細かな対応が必要な業務に振り向けることだ。

 「これまで職員が対応してきた問い合わせのうち、定型的なものをAIに任せることができれば、市民一人一人に対するより細かなフォローアップなど、本来人が注力すべき業務に限られたリソースを振り向けることができると期待している」。鹿嶋市の鈴木小百合氏(DX・行革推進室 係長)はこう話す。

 鹿嶋市では本番稼働後、月例でAIチャットボットの利用件数などを確認しながら効果測定を続け、今後の生成AIの適用範囲の拡大なども検討していく方針だ。本庁にかかってくる電話の着信数は、多い日には1日1000件程度になるといい、AIチャットボットの利用が増えれば問い合わせ対応の負荷を大幅に減らせる。

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