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『個人情報保護法を論理的に読み解く』に違和感有り

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投稿者投稿内容
みぃん
会議室デビュー日: 2001/08/19
投稿数: 9
投稿日時: 2005-01-02 02:09
別にスレッドを立てるほどのことではないのですが、この記事を読んでからまる二月、
どうにも物申さずにはいられぬ気持ちが高まり、尾崎先生にご意見しようにもどうやら
ここにスレ立てるしかないような感じなので・・・。
書いたらすっきりすると思うので、そのためだけだったりします。ご容赦願いたく。

先生は理系出身弁護士とのことで、文系の方々との接触に苦労されているとのことで
すが、私には、「文系・理系」という問題ではないのではないかという気がして仕方が
ないのです。

といいますのも、私は法学部出身の(自称)ネットワークエンジニアなのですが、理系
の方が論理的かといえば、そんなことはないんじゃない?と思うからなのです。
逆に、文系が論理に弱いというのも間違いだと思っております。

例を挙げましょう。
学生時代にかわいがってくださった英文学の教授は、アメリカからソフトウェアを取り
寄せるとき(もう20年近くも前の話ですので・・・)、よく私の分の注文も一緒にして
くださいました。そのおり、教授の発注分に「Mathematica」が入っていたので、聞い
たのです。
「先生、英文学と数学には関連性がなさそうですが・・・・」
先生は逆に怪訝そうな顔をされ、「そんなことはないよ。英語の研究者には数学が得意
な人が多い。それに、語彙の出現頻度の分析などには数学の知識は必須だよ。」と言わ
れました。

「英語の研究者は実は理系?いやいや、そんな馬鹿な。理系文系の区別など意味がない
のでは・・・?」と考えさせられました。

西洋史を専門にされていた某教授は、常々「話に入る前に、言葉の定義からはじめよ。
主語と述語は明確にせよ。」とおっしゃっておりました。「論理的な議論」の基礎を
教わったように思います。

思えば、文学部でも経済学部でも法学部でも、およそ論客として手強い相手は皆、論理
的であったように思い出されます。残念ながら、そうした煌めくような頭脳の持ち主と
対等になれるほどに私は優秀ではなかったので、単に圧倒されていただけかもしれませ
んが(笑)。

尾崎先生のいうような事例は確かに存在するでしょう。見渡せば、「言葉の通じない」
人たちはいくらでもいます。ベン図を書いて説明しないとわからない事も多々あります。
それは、間違いありません。しかし・・・・。
ベン図を書いて伝わる相手であれば、それは、「論理が理解できている」と思ってよい
のではないでしょうか。
私は、事の本質が「日本語」にあると思っておるわけであります。

先生の文章にも、こうあります。
「 法廷でよく問題となるのは、契約文書に「甲及び乙が共に○○したときは〜」と書
いてあるのに対して、その反対の法律効果を得たい場合である。理系頭脳のある方なら
「甲又や乙の一人でも○○しなければ」反対の効果が得られるはず、とすぐ分かるだろ
う。しかし、法曹の多くは、「甲・乙ともに○○しない場合」としてしまうのだ。先ほ
どの式でいうと右辺を(not A)and(not B)にしてしまう。」

先生の言うところの「理系」の人たちは、文章を一旦、"A and B"に変換して理解する
すべを知っています。しかし、「文系」はそうしたことをしない。習慣がないからです。
そして、日本語はこのような数学的な表現に向いていないというだけのことだと思うの
です。
日本語が論理的ではないというのは適切ではないでしょう。
数学的表現が日常会話からかけ離れているというべきかもしれません。

 A > B は 「A 大なり B」ですが、日常表現ではそんなことは言いませんね。
「AはBより大きい」と言います。
英語では、ちゃんと "A is greater than B" と言うようです。つまり、
 ">" = "is greater than" というわけですね。羨ましい。これなら苦労しなかった
のに(笑)。

数式が言葉と直接リンクしやすい言語と、一旦変換しなければわかりにくい言語。
日本語は後者であるために、普段から論理式に慣れている人が論理に強い(ように
みえる)だけではないでしょうか。

本当に論理的「直感」があるのであれば、「A and B」などと言い直す必要なく、理
解できるのではないでしょうか?
残念ながら、直感でわからないので、一旦翻訳するのでは・・・・?

文系・理系などというのは、理解できないことへの言い訳であると思います。
個人情報保護法や著作権法など、法律に関する説明を社内でもよくしますが、文系の
方も理系の方も「よくわからん。○系(自分の系でない方)の話だな」と皆さんおっ
しゃいます。

どうやら法律は文系でも理系でもなさそうです(笑)。
思うに、論理的表現に向かない日本語で論理的に穴のないように書くと、ますます日
常からかけ離れた言葉になるからでしょう。

「理系頭脳」などという言葉は、そういうわけで、あまり安易に使っていただきたく
ないなぁと思う次第です。
ええ、ええ、私は理系頭脳を持ち合わせておりませんので、ちょっと僻んでいるだけ
なのかもしれませんが・・・。


[ メッセージ編集済み 編集者: みぃん 編集日時 2005-01-02 02:22 ]

[ メッセージ編集済み 編集者: みぃん 編集日時 2005-01-02 02:27 ]
るぱん
ぬし
会議室デビュー日: 2003/08/01
投稿数: 1370
投稿日時: 2005-01-02 12:13
るぱんです。

横からちゃちゃ入れるわけではないのですが、
思ったことをつらつら述べてみたいと思います。

まず、記事に関して。

主題は「論理的か非論理的か」と言うことを取り上げながら
理系=論理的
文型=非論理的
と言う暗黙の前提が有ってから記事を書いている気がします。
記事を書いた方はその証明を行っていないので、
論理的な記事であるかといわれれば僕は「No」だと思います。
(論理的かどうかを議題にしながら全然論理的じゃないって事です。)


次に理系が論理的で文型が非論理的かについて。
個人的には個体差が激しい物を一つの尺度でくるっとまとめて扱っていいものかどうか
については「No」です。


ただ、僕の知る限りの文型の人の中を見渡すと、論理的で無い人の割合は
理系で論理的では無い人のそれと比べては比率が高いと感じています。


ただ、先ほども申し上げたとおり、個体差の激しい話ですので、
標準偏差ナシで文型=非論理的とするのは間違いであると考えています。

十束一纏めで文型=非論理型、理系=論理型とされた比較的論理的な
文型の方は気分を害された事でしょう。

論理的な人の話は非常にわかりやすいと個人的には思ってたりもしますし、
IT業界でコミュニケーション云々が語られてる現状を鑑みて、
論理的では無い人が多いだけなんじゃないか、
そんな風に考えている次第です。

というかですね、論理的な人がIT業界にもっと多かったら
仕様書の齟齬とか丸投げなんてものは存在し得ないと考えています。

提言:
もっと論理的な人を業界に増やしていきましょうよ・・・。(笑)
_________________
みぃん
会議室デビュー日: 2001/08/19
投稿数: 9
投稿日時: 2005-01-09 20:58
こんにちは。みぃんです。

引用:

るぱんさんの書き込み (2005-01-02 12:13) より:

というかですね、論理的な人がIT業界にもっと多かったら
仕様書の齟齬とか丸投げなんてものは存在し得ないと考えています。

提言:
もっと論理的な人を業界に増やしていきましょうよ・・・。(笑)




るぱんさん、説得力のあるご意見、ありがとうございます。

その通りですねぇ。丸投げと「論理的思考のなさ」は直結するのかどうか
分からないところがあるのですが、いずれにしても仕様書の齟齬などという
ものはありえないはずですね。

論理的な方が増えると仕事がしやすいだろうというのは感じます。

でもねぇ。愚痴になりますけれど、この業界の方はイマイチ契約書などに対
する姿勢がよろしくないです。
何でも法務に丸投げ(あ、丸投げだ!)、自分の意見もなく「○○って言わ
れたので、直してください」って、あんた、契約書の内容を相手のいいなりに
直すというのがどういう事かわかってんの?と目が点になります。
そもそもちゃんと読んでるのかよ・・・・。

逆に、取引先提示の契約書案について指摘を加えると、多くの営業マンは急に
おどおどして、「え、はい、持ち帰りましてご回答します」って。自社の雛形
だろ〜、ちゃんと理解してから来いよ。呆れちゃいます。

まぁ、わたし、以前住宅メーカーにおりましてね。
契約書の不備から代金未収のままで家を持って行かれたというケース(多くは
裁判になってますが)たくさん見てるんですよ。そりゃもう、えげつないです
よ。経理もやりましたからね、訴状から判決文から社内での稟議書まで全部読
みました。契約書を軽々しく扱うと大変なことになりますよ。ええ、ええ。
(まぁ、アブナイ客との契約を認めた責任者がいちばん悪いんですけど)


と言うわけで提言:
契約書の大切さがわかる人を業界に増やしましょう(涙)


え〜
それと、言い忘れです、尾崎先生。

もし、もしですよ、尾崎先生の挙げた例のように、「AとBが共に××したとき」
の反対の効果を得たい云々の話が特殊なケースではないのだとしたら、私たち
は安心して裁判官に判断を委ねることはできません。
また、弁護士も信用できません。そんな思考の人たちを代理人にしたら危険!
司法そのものへの信頼が揺らぎますよね。
ということを踏まえて、本当に、本当なんでしょうか???

まぁ、Mr.Spock(論理的と言えばこの方)も言ってますけど。
Humans make illogical decisions.
で、お母さんもダメおし。
They do indeed.
("Star Trek IV")
object
ぬし
会議室デビュー日: 2002/03/20
投稿数: 338
お住まい・勤務地: 香川県高松市
投稿日時: 2005-01-10 16:42
objectです。

この参照記事とスレが含む内容は、大変重要であり、
私がこのサイトで主張している内容ともかなり関連があるので、少しだけ簡単に書かせて頂きます。

>みぃんさん
この記事は、何処に焦点を置くかで、かなり異なった解釈になると私は思います。

文脈をみる限り、この記事の著者が主張しているのは、
「記号論理学」
の重要性だと私は思います。

「論理学」は大きく
「古典論理学(形式論理学・帰納論理学)」
「記号論理学」
#「その他論理学(弁証法等)」は除外します。
に分類出来ると思います。

そして、簡単に言えば
「古典論理学」=「概念の論理学」
「記号論理学」=「関係の論理学」
と言っても良いと思います。

著者が関わっている
「法律の条文」
は、殆どの場合、「内容の解釈」が重要になります。
そして、
「内容の解釈」=「形式の変形による推論」
です。

この
「形式の変形による推論の厳密性(正当性)」
を追求するのが
「記号論理学」
だと私は思います。
#参照記事で取り上げられている
#not(A and B)=(not A) or(not B)
#は、「ブール束(代数)」の「ド・モルガン則」で、
#所謂古典論理では意識されない内容です。
#また、「ブール束」という言葉でも分かる通り、「ブール束」は「束論(数学)」の一部です。

参照記事の中で、著者が
「文系・理系」という言葉を「人間」に対して使っている
のは確かです。
しかし、文脈をみる限り、結局は
「文系的・理系的」
つまり、
「考え方の一側面」
と理解する方が良いと私は思います。

それから、
「大学」等で「記号論理学」がシッカリと教えられていない
事の方が寧ろ問題であると私は思っています。

[ メッセージ編集済み 編集者: object 編集日時 2005-01-11 14:49 ]
るぱん
ぬし
会議室デビュー日: 2003/08/01
投稿数: 1370
投稿日時: 2005-01-11 09:13
引用:

みぃんさんの書き込み (2005-01-09 20:58) より:
こんにちは。みぃんです。

引用:

るぱんさんの書き込み (2005-01-02 12:13) より:

というかですね、論理的な人がIT業界にもっと多かったら
仕様書の齟齬とか丸投げなんてものは存在し得ないと考えています。

提言:
もっと論理的な人を業界に増やしていきましょうよ・・・。(笑)


その通りですねぇ。丸投げと「論理的思考のなさ」は直結するのかどうか
分からないところがあるのですが、いずれにしても仕様書の齟齬などという
ものはありえないはずですね。


補足させて頂きます。
論理的思考の無さ=正確な状況把握ができません。
状況が把握できない中で仕事をこなす=他人にネタフリして逃げてしまえ
→部下なら押し付けても平気だろう?
んでもって丸投げ状態の完成・・・ってなだけです。

全員が全員そう・・・とは思ってないですし、そうとられては危険ですので。(汗)
引用:

え〜
それと、言い忘れです、尾崎先生。

もし、もしですよ、尾崎先生の挙げた例のように、「AとBが共に××したとき」
の反対の効果を得たい云々の話が特殊なケースではないのだとしたら、私たち
は安心して裁判官に判断を委ねることはできません。
また、弁護士も信用できません。そんな思考の人たちを代理人にしたら危険!
司法そのものへの信頼が揺らぎますよね。
ということを踏まえて、本当に、本当なんでしょうか???

まぁ、Mr.Spock(論理的と言えばこの方)も言ってますけど。
Humans make illogical decisions.
で、お母さんもダメおし。
They do indeed.
("Star Trek IV")


んと・・・その発想も危険かな?

行列のできる法律相談所に出てくる若い弁護士に同じことが言えるでしょうか?
最初からたのまん・・・かもしれません。

社会に出て未熟成な状態の人もいますので、
まかせっきりにするのではなく、
しっかり論点を整理して論理で通していくために
自分なりにチェックする必要があるのではないでしょうか?

上記に書かれていた論調ですと、
「自分は法律についてはわかりません。だから、専門家に丸投げするんです。
お金もらってる以上はちゃんとやってよね。」
って感じになりませんかね?
これって、先ほどあげた自分がされて嫌な事・・・そのものではないでしょうか?

知らず知らずに他人に対して同じことを求めているような気がしてきました。
みぃん
会議室デビュー日: 2001/08/19
投稿数: 9
投稿日時: 2005-01-11 20:19
こんにちは みぃんです。

引用:

objectさんの書き込み (2005-01-10 16:42) より:

「論理学」は大きく
「古典論理学(形式論理学・帰納論理学)」
「記号論理学」
#「その他論理学(弁証法等)」は除外します。
に分類出来ると思います。

そして、簡単に言えば
「古典論理学」=「概念の論理学」
「記号論理学」=「関係の論理学」
と言っても良いと思います。




objectさん ありがとうございます。
そうか!と目が開いたような気がしました。
違和感を感じていたんですよ。古来、論理を追究してきたのは哲学者や
宗教学者達なわけで、それと同列に論じられない「論理」もあるのですね。
勉強になりました!

わたしの最初の投稿にも、「日本語が論理に向いていない」というのが
ありますが、むしろ、習慣や知識として記号論理学が根付いていないという
ほうが良さそうですね。

同じ道具で会話ができないと話がくいちがいますもんね・・・・。


>るぱんさん

おっしゃるように、言葉の通じない弁護士は最初から頼まなければいいんですけど、
残念ながら、私たちは裁判官を選べないんです。そして彼らは絶大な力を持っている。
上級審で覆ればいいですが、論理の通じないひとが「普通」だとしたらそれも危うい。
そんな想像をしたら、ぞっとしたのです(笑)。
もちろん、そんな馬鹿な、というニュアンスなんですけどね。

#他人に丸投げなんて絶対できないです。怖すぎて。
#わたしも新人時代、いろいろやりました。人の人生を左右するような仕事を無知なまま
#やってしまったことに、今思うと「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」という感じ。
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