春だからデータベースの基本を押さえよう
2010/3/23
日本製データベースはそろって新版登場
これまで紹介した製品は、主に海外に本社を置く企業のものでした。この分野ではもちろん日本製も健闘しています。日本製のデータベース製品は官公庁や日本の企業に強いので、気付かないところで着実に普及していたりします。最新版も登場しています。
●日立製作所 HiRDB
日立製作所のHiRDBは汎用機の技術を受け継いだ製品で、経歴はどこかIBM DB2に似ているかもしれませんね。歴史は古いけれどXML対応にも熱心で、新しいトレンドにも積極的です。
2010年4月には最新バージョンVersion 9をリリースします。クラウドコンピューティングによるITリソース有効活用を見すえた製品となっています。
HiRDBの最新バージョンHiRDB Version 9が2010年4月にリリース
http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/hirdb/topics.html
●富士通 Symfoware
富士通のSymfowareは、日立のHiRDBに比べると、機能より信頼性重視というイメージがあります。業務の継続性、高性能、高信頼性をうたっています。
ちょうど今年に入り、新バージョンが出ました。富士通は2010年1月20日からSymfoware Server V10を発売開始しました。
イルカ、ゾウ、カメ、鳥、オープンソースのDBたち
オープンソースのデータベースもあります。代表的なものを紹介しましょう。オープンソースといっても、長い歴史を持ち、性能も商用データベースに引けを取らないくらいです。近年では不景気の影響もあり、企業での採用も増えてきました。
●MySQL
世界的にはオープンソースのデータベースというと、MySQLの知名度が高いです。Yahoo!やmixiなど有名なサイトで採用されています。
MySQLといえば、2008年にサンとの統合があり、2009年はサンがオラクルに買収され、公正取引委員会からの了承を待つなど、関係者はずっとかたずをのんで見守ってきました。ようやく買収に関する話が落ち着いてきたので、今年こそ新しい体制が固まるといいですね。
●PostgreSQL
日本においてはオープンソースのデータベースといえば、PostgreSQLの知名度がけっこう高いといえます。これは日本のPostgreSQLユーザ会の貢献のたまものといえます。
例えば、日本のコミュニティから本田茂広氏がPostgreSQL普及に貢献したことで日本OSS貢献者賞を受賞するなど表彰されたり、あるいは何人かの日本人がPostgreSQLのコミッター(ソースコードを書き換えられる人)として認められるなど、PostgreSQLは日本からの貢献度が高いといえます。
●Firebird
ブラウザのFirefoxでもなく、メーラーのThunderbirdでもないですよ。確かに名前はこれらと似ていますが、オープンソースのデータベースとしてFirebirdがあります。日本ではMySQLとPostgreSQLに押されて目立たない存在かもしれませんが、世界的には意外と有名です。ブラジルに行くと熱狂的な支持があるのだとか。もうすぐ2.5をリリースするところで、今年はFirebirdの話題も提供できそうです。
そのほかにも、XMLデータベースやインメモリデータベースがあります。また、NoSQLと呼ばれる分野も興味深く、追って紹介していきますね。なかでもWebで公開することに最適化されたデータベース管理システムであるCouchDBについては、連載「ゆったリラックス! CouchDBがあるところ」が参考になります。
2010年は日本製RDBMSの新バージョンから始まったといえるかもしれません。今年はどんな年になるのでしょうね。ではまた来月、お会いしましょう。過去記事もどうぞ!
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Index | |
春だからデータベースの基本を押さえよう | |
Page 1 大昔からあるけど、進化を続ける「データベース」 ますます性能を強化する商用データベース |
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Page 2 日本製データベースはそろって新版登場 イルカ、ゾウ、カメ、鳥、オープンソースのDBたち |
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