Database WatchDatabase Watch 2011年3月版

データベース業界の動向を総まとめ

加山恵美
2011/3/18
このたびの東北地方太平洋沖地震で犠牲者となられた方々に謹んで哀悼の意をささげるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。この原稿を書き上げた後にあの大地震が起きました。私ごとですが親せきや友人が宮城におり、気が気でない毎日です。おそらく読者の皆さんも心休まらない日々をお過ごしだと思います。不安や焦りはありますが、今はできることからやっていくこと、また皆でこの苦難を分かち合い、乗り越えていければと願っています。

ふと近所でバラの新芽を目にしました。春は確実に近づいているんですね。新年度間近ということで今月はデータベース業界の動向をおさらいしてみます。

リレーショナルデータベースの歴史は実は長いのです

 皆さんこんにちは。今回は例年の3月版と同じく、主要なリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)製品の現状をまとめてみたいと思います。

 RDBMSの歴史は古く、その理論的基盤である「リレーショナルモデル」は、1970年にIBMサンノゼ研究所のエドガー・コッド(Edgar F. Codd)博士が“A Relational Model of Data for Large Shared Data Banks”という論文で発表したものです。この論文はIBMだけでなく、多くの研究者やソフトウェアベンダに影響を与え、1980年ごろから、商用のRDBMSが続々登場しました。

RDBMSの父とも呼べるエドガー・コッド博士(1923〜2003)

 RDBMSが登場した当初は、各ベンダはトランザクションなどの今となっては基本的な機能を他社に先んじて搭載しようと競争を繰り広げていました。そして、機能だけではなく、処理性能の高さでも激しく争っていました。

 各ベンダの製品がRDBMSとして基本的な機能を一通り備えるようになってからは、XMLを扱う機能や、問い合わせ文を自動的に最適な形で実行するようにする機能など、RDBMSの枠を超えた機能を提供するようになりました。最近はストレージの記録容量当たりの単価がどんどん下がり、企業が蓄積するデータのサイズが爆発的に大きくなったため、再び処理性能の速さを競うようになってきています。

 冒頭で説明したようにRDBMSの歴史は古く、現在では技術的に「枯れている」ともいわれます。しかし、データベースはコンピュータシステムには不可欠であり、中心もいえる存在です。各ベンダとも、RDBMSの技術開発には力を入れており、進化が続いています。その動きを見ているとなかなか面白いものです。

商用RDBMS御三家の現状

 現在、商用RDBMSの中でも大きなシェアを確保しているのは、オラクルの「Oracle Database」、IBMの「IBM DB2」、マイクロソフトの「Microsoft SQL Server」です。これら3製品は商用RDBMSの「御三家」ともいえる存在です。

 かつてオラクルといえば何といってもRDBMSの企業でした。主力製品であり、ほとんどの利益を生み出す製品が同社のOracle Databaseだったからです。そのオラクルは、2000年台後半から多くの企業を買収し、今やサーバやプロセッサまで手掛ける企業になりました。

 オラクルの出発点は、1977年に現CEOのラリー・エリソン氏らが設立したSoftware Development Laboratoriesという会社でした。起業のきっかけとなったプロジェクトのコード名が「Oracle」だったといいます。創業から30年以上たった現在、Oracle Databaseのバージョンは「Oracle Database 11g Release 2」まで到達しました。

【関連イベント】
オラクル・エンタープライズ・クラウド・サミット(4月21日)

http://www.oracle.co.jp/events/oecs2011/

 IBMは何種類かRDBMS製品を販売してますが、同社の代表的なRDBMS製品といえば「IBM DB2」です。最新バージョンは9.7です。こちらも歴史は長いです。先に述べたように、リレーショナルモデルを考案したのはIBMサンノゼ研究所のコッド博士です。その後、コッド博士の理論を元に同研究所が問い合わせ言語「SQL」(開発当初の名称は「SEQUEL」)を開発するなどの過程を経て、IBMは1983年にDB2を発表しました。いわばRDBMSのサラブレッドのような製品ですね。

 IBMはほかにも「Informix」というRDBMS製品を販売しています。この製品は1980年にInformix Softwareという企業が開発し、販売していたもので、IBMはInformix Software社を買収して、開発と販売を引き継ぎました。本稿執筆時点で最新のバージョンは、2010年10月に登場したV11.7です。

 マイクロソフトのRDBMSといえば、Microsoft SQL Serverですね。最新版は「Microsoft SQL Server 2008 R2」です。

 もともとMicrosoft SQL Serverは、サイベースの「Sybase SQL Server」をマイクロソフトがWindows向けに移植し、独自機能を加えたものです。RDBMS製品としては後発ですが、今やかなりのシェアを確保しています。Windows OSやMicrosoft Officeなど、同社の製品との組み合わせで便利な使い方ができるので、好評を得ています。


1/2 次のページへ

Index
データベース業界の動向を総まとめ
→ Page 1
リレーショナルデータベースの歴史は実は長いのです
商用RDBMS御三家の現状

Page 2
競争が激化する一方のBI/DWH市場
一部の注目を集めるインメモリデータベース
根強い支持を集める国産RDBMS
オープンソース御三家も忘れずに



Database Expert フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)
- PR -

注目のテーマ

Database Expert 記事ランキング

本日月間
ソリューションFLASH