Database WatchDatabase Watch 2011年11月版

BI市場を狙って活発に動くMSとオラクル

加山恵美
2011/12/12
 Microsoft SQL Server "Denali"(開発コード名)の正式名称が「Microsoft SQL Server 2012」と決まりました。オラクルは「Oracle Enterprise Manager 12c(OEM 12c)」の国内提供を始め、BIマシン「Exalytics」の説明会も開催しました。商用RDBMSの覇権を争う2社がBIに注目して、次々に手を打ってきています。来年からは、BI関連の技術者が引っ張りだこになるかもしれません。

正式名称決定! SQL Server 2012は来年上半期に登場

 2011年11月15日、マイクロソフトはMicrosoft SQL Serverの次期バージョン(開発コード名“Denali”)についての説明会を開きました。これまで「Denali」と開発コード名で呼んでいましたが、製品名が「Microsoft SQL Server 2012」になることが正式に決まりました。そして、2012年上半期に提供開始ということもはっきり決まりました。いよいよあと半年です。

 この発表の直後に、マイクロソフトは評価版である「Microsoft SQL Server 2012 RC0」の公開を始めました。

 販売開始時には、Enterprise EditionBI(Business Intelligence) EditionStandard Editionの3種を提供するようです。

 いわゆる「全部入り」となるのがEnterprise Editionです。AlwaysOnなどの可用性を高める機能、データ暗号化などのセキュリティ対策機能、カラムストアインデックスやパーティショニングなど大規模DWH向けの機能が加わっています。

 新たに登場したBI Editionは文字通りBIに向けたものです。Standard Editionの標準的な機能に加え、PowerViewなどセルフサービスBI機能、エンタープライズデータ管理(いわゆる「データクレンジング」など)、インメモリ型OLAP分析エンジンなどを利用できます。

いきなり電源ケーブルを抜いても安定稼働!

 15日の説明会ではAlwaysOnのデモも見られました。サンプルとして、読み書きが頻発する株取引のアプリケーションを使い、サーバ構成は東京のデータセンターにプライマリとアクティブセカンダリのサーバ、大阪や札幌にセカンダリのサーバを配置するというものでした。デモを担当した、日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウド&アプリケーション プラットフォーム製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの北川剛氏は、東京のプライマリサーバの電源をコンセントごと引き抜き、数秒後にアクティブセカンダリがプライマリとして機能する様子を実演しました(写真)。

 ちなみに、日本マイクロソフトが公開している「デモマシンの電源コードを抜くという荒業を使ってでも見せたい 注目の機能"AlwaysOn"その実力」という動画でも、同様のデモを見ることができます。

簡単操作のBI機能

 ほかにも、2012にはセルフサービスBI機能「PowerView」といった目玉もあります(EnterpriseとBI Editionが対応)。これまで「Crescent」と呼ばれていた、データをさまざまな形で視覚的に表現する機能を持つレポーティングツールです。Silverlightで作成したユーザーインターフェイスに、Webブラウザ(Internet Explorer)でアクセスして操作することで、データベースのデータを表や棒グラフ、折れ線グラフなどの形式で確認できます。ちょっとした操作で、棒グラフから折れ線グラフに変えられるなど、見た目をがらっと変えることができます。デモンストレーションの現場で表示方法を切り替えるということも可能です。

 PowerViewについて知るには、実際に触ってみるのが一番です。日本マイクロソフトが体験サイトを公開しています。ぜひ試してみてください。

クラウドも社内サーバも一括管理、OEM 12c

 日本オラクルは、Oracle Enterprise Manager 12c(OEM 12c)の国内提供を12月6日に開始しました。オラクルユーザーならおなじみの統合運用管理ツールの新版です。オラクルの主要製品で最初に「12c」というバージョン番号を冠することになった製品でもあります。これまではバージョンの末尾にグリッドの「g」が付いていました。それが、今回からはクラウドの「c」に変わりました。このツールは、クラウド上のデータベースも管理できるということに主眼を置いたもので、社内サーバと一括管理できることが大きな特徴となっています。

 提供開始に先立ち、オラクルは11月10日にOracle Enterprise Manager Forumを開催し、オラクルコーポレーション バイスプレジデント Applications and Systems Managementのレン・タン(Leng Tan)氏がOEM 12cによるクラウド上のデータベース管理に重点を置いて解説しました(写真)。

 OEM 12cはクラウドのライフサイクル管理クラウドスタックの統合監視ビジネス視点によるアプリケーション管理が3本柱になっています。システム管理者は管理画面「Oracle Enterprise Manager Cloud Control」から一元的に管理できます。

 クラウドのライフサイクル管理では、計画、セットアップ、構築、テスト、デプロイ、監視、管理、課金、最適化といった一連のアプリケーションのライフサイクルで必要な監視、管理機能をすべて網羅しています。例えば計画段階にはConsolidation Planner、テスト段階にはテストツール、管理(稼働)段階ではリソース使用量の計測や課金レポート作成機能などを利用できます。

 次にクラウドスタックの統合監視。アプリケーションからハードウェアまでの各層を管理するのに加え、ExadataやExalogicといったEngineered Systemの統合管理もより細かくできるようになりました。コンソールからハードウェアとソフトウェアの状態を視覚的に把握できます。また「プロアクティブ・サポート」として、My Oracle Supportと統合し最適なパッチ適用のアドバイスを受けることも可能です。

 最後にビジネス視点によるアプリケーション管理。例えば「お客様はこのサービスに満足しているだろうか?」という疑問に基づいたデータを、きめ細かにトラフィックをモニタリングすることで収集できるようになります。


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BI市場を狙って活発に動くMSとオラクル
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正式名称決定! SQL Server 2012は来年上半期に登場
いきなり電源ケーブルを抜いても安定稼働!
簡単操作のBI機能
クラウドも社内サーバも一括管理、OEM 12c

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広大なメモリ空間を利用して超高速BI処理「Oracle Exalytics」
「いいにく」の日にgroonga村の新年と収穫の祭り



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