本書は、Microsoft.NETの戦略と構想、それを支えるテクノロジ、そして新しい開発環境であるVisual
Studio.NETを詳細に解説したムックである。
本書は4つの特集で構成されている。最初の特集は、マイクロソフト社.NETソリューション開発部のエバンジェリストたちを迎えての20ページを越えるロング・インタビューである。.NETが登場した背景から始まり、将来のWindows像、.NETやビルディング・ブロック、.NET
Enterprise Serversを用いたシステムのあり方、オブジェクト指向設計を始め開発者が学ぶべきことなど、既出の解説記事では得ることのできない担当者ならではの話を聞くことができる。
特集2では、Web ServiceとSOAPによる.NETの新しいビジネス・ソリューションの形態についての解説と、「ムービーで理解する.NET」と題する、付属CD-ROMに収録された3つのムービーに関する解説である。このムービーは米Microsoftが開催したForum
2000で上映されたものの日本語吹き替え版だ。マイクロソフト主催のカンファレンスではよく上映されていたものだが、Web上では公開されていない。内容は.NETによってもたらされる新しい世界のユーザー・コンピューティングを映像化したもので、ユニバーサル・キャンパスや音声操作などのナチュラル・インターフェイスを備えたPCや携帯電話、タブレットPCが登場する。.NETプラットフォームについてはよく語られているが、一般ユーザーにとっての.NETはまだほとんど知らされていないため、現時点では貴重なリソースといえる。
本書のメインともいえる特集3では、.NETを構成するテクノロジをキーワードごとに解説している。特にCLR(Common
Language Runtime)、CTS(Common Type System)、CLS(Common Language
Specification)、IL(Intermediate Language:中間言語)などは、いずれも.NET
Frameworkのテクノロジのコアをなすもので、最も難解な部分でもあるだけに、多くのページを割いて詳細に解説されている。
最後の特集4は開発環境であるVisual Studio.NET、C#、Visual Basic.NET、Visual
C++.NETについての解説だが、これまでのVisual Studioや、C++、VBにも言及しながら、何がどう変わったのか、現Visual
Studioプログラマが注意しなければならないことは何かなどについても多く記されており参考になる。ただし、ここで解説されている内容はPDC
Preview版(ベータ1の1つ前のバージョン)に基づくものである。
本書は、まだ数少ない日本人著者による.NET解説本の中でも読み応えのある一冊となっている。
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