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スクリーン・キャプチャで分かる「次期Visual Studio」
―― ブログ「ITとビジネスの可能性」より ――

長沢 智治
2011/07/27
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Visual Studio次期バージョン(vNext)のそのほかの新機能

 基調講演直後に、「The Future of Microsoft Visual Studio Application Lifecycle Management」というセッションがありました。ここでは、General ManagerであるCameron Skinnerがスライド資料たった2枚で、後はすべてデモで、Visual Studio vNextで実現したい継続的フィードバックの世界観を伝えました。

セッション「The Future of Microsoft Visual Studio Application Lifecycle Management」

 ここからは、そのセッションで紹介された新機能を紹介していきます。ただし、基調講演と重複する部分はカットしましたので、ご了承ください。

 なお、本稿の内容については、ALMやプロセス改善の分野で10年以上仕事をしている筆者の個人的見解が含まれています。所属企業の公式見解などではなく、この記事全体が、「Tech・Ed North America 2011に参加した、一エンジニアの見解である」ことを前提とさせていただきます。あらかじめご了承ください。

運用フィードバックを最適化 ― IntelliTrace

 最初に解説されたのは、「IntelliTrace for Production Server」です。IntelliTraceは、デバッグやテスト時にメモリ情報を記録し、デバッグをいつでも別の環境でスタートさせたり、デバッグ実行中に前の状態に戻ったりできる機能で、すでにVisual Studio 2010で提供されています。これを(製品として)稼働中のプロダクション・サーバで利用できる試みとなります。

プロダクション・サーバ向けのIntelliTrace機能

コピペ・コードの発見 − Find Matching Clone in Sources

 コピペ(=コピー&ペースト)のコードを喜ぶ人はいません。これらを効果的に発見し、リファクタリングすることは、レガシー・コード対応にとっても重要です。これらに対するサーチが充実してきます。具体的には次の画面のように、コードを選択し、その右クリック・メニューから[Find Matching Clone in Solution]を選択するだけで、コピペ・コードを解析してくれます。


[Find Matching Clone in Solution]をクリック

解析中……
コピペ・コードの解析

 解析した結果は、「Exact Match」(完全一致)、「Strong Match」(強一致)、「Medium Match」(中一致)と強弱付けて一致度合を教えてくれます。

Unit Test Explorer

 単体テストを支援する機能はこれまでもありましたが、それに加えて新たに[Unit Test Explorer]が発表されました。「開発者がいま必要なテスト・コード」と「テスト実施結果に関する情報」にいち早く手が届く機能になります。次の画面の左に表示されているのが、[Unit Test Explorer]です。

[Unit Test Explorer](上:テスト・コードの表示、下:テスト結果の表示)

 次の画面のように、テストの実行、実行に要した時間、成否、問題箇所をナビゲートしてくれます。

プロダクション・サーバ向けのIntelliTrace機能

コード・レビュー機能

 コード・レビューの機能も充実します。いままでもTFSのシェルブでチェックイン前にコードを共有できましたが、さらに、コード・レビューの情報を各ソース・コードに記録できるようになります。これによって次の画面のように、ソース・コード上でレビュー箇所を可視化できるだけでなく、[Team Navigator]からレビュー対象のコードへ迅速にアクセスできます。

コード・レビュー機能

 Office製品のコメント機能のような感じで、[Team Navigator]からレビュー・コメントを追加することもできます。

[Team Navigator]からのレビュー・コメントの追加

 さてさて、Visual Studio vNext ALMについて触れてきましたが、みなさん、どう思われたでしょうか? いまからVisual Studio vNextに夢を膨らませ、新たな開発のパラダイムを感じるのもいいですが、いまから準備をしておかないと、ビジネスにIT、ソフトウェアが付いていけない、ソフトウェア開発がボトルネックになる時代もそう遠くはないのではないでしょうか? これに対する回答がVisual Studio 2010であり、Visual Studio vNextであると考えてください。

 そうです。いまからVisual Studio 2010で実現できるALMの世界、ソフトウェア開発のあるべき姿に取り組んでいかないと、vNextのときに世界についていけなくなります。そのあたりについても、この基調講演をチーム・メンバーで一緒に見ながら語ってみるのもいいですね。ということで、ストリーミングをご紹介します。ストリーミングは、

http://channel9.msdn.com/Events/TechEd/NorthAmerica/2011/KEY01

で見られますので、ぜひ全画面表示にしてご覧ください。英語が分からなくてもデモがふんだんに行われていますので、大丈夫です! Visual Studio vNextのパートは、およそ1時間経過したあたりからとなります。

 また、本稿で、Visual Studio vNextのすべてをお伝えできたわけではありません。Tech・Ed North America 2011ではまだまだほかにも発表がありました。それらについては、また次の機会に。End of Article

【筆者プロフィール】
長沢 智治

 日本マイクロソフトのエバンジェリスト。ソフトウェア開発のライフサイクル全般を経験後、「開発する側」から「開発を支援する側」にまわって10数年。日本の開発チームにお役に立てることは何かを常に妄想しながら活動中。


 

 INDEX
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    1.Visual Studio次期バージョン(vNext)のALM関連の機能概要
  2.Visual Studio次期バージョン(vNext)のそのほかの新機能

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