.NET TIPS

文字列を連結するには?

デジタルアドバンテージ
2003/05/23

 複数の文字列を1つの文字列に連結するには、C#では「+演算子」(Visual Basic .NETでは「&演算子」)を使用する。

using System;

class test {
  public static void Main() {

    string earth = "土と";
    string wind  = "風と";

    string ewf = earth + wind;
    Console.WriteLine(ewf); // 出力:土と風と

    string fire = "火と";
    ewf += fire;
    Console.WriteLine(ewf); // 出力:土と風と火と
  }

}

 数値計算と同様に、文字列に対してもC#では「+=演算子」(Visual Basic .NETでは「&=演算子」)を使用することもできる。「ewf += fire;」は、「ewf = ewf + fire;」と記述するのと同じ意味で、これは文字列の末尾に別の文字列を追加する。

 文字列に対するこれらの連結演算子は非常に便利だが、あまり高速ではないということを覚えておく必要がある。上記のような例ではまったく問題にはならないが、ループ内で文字列を連結しながら長い文字列を作り上げていくような場合には注意が必要だ。これは次のような簡単なコードで実感することができる。

// append1.cs

class AppendBench1 {
  public static void Main() {

    string str = "";

    for (int i = 0; i < 100000; i++) {
      str += "*";
    }
  }
}

// コンパイル方法:csc append1.cs
10万個のアスタリスクからなる文字列を作成するC#のサンプル・プログラム(append1.cs)

 このサンプル・プログラムは10万個のアスタリスクからなる文字列を作成するだけだが、筆者のPC(Pentium 4-1.7GHz、メモリ512Mbyte)では終了するまでに20秒近くかかった。

 この処理が遅い最大の原因は、文字列の連結時(実際には、コンパイラは演算子による文字列連結をStringクラスのConcatメソッド呼び出しに置き換える)に毎回新たなメモリ領域が割り当てられるためだ。つまり、

str += "*";

では、まず「文字列strの長さ」+「文字列"*"の長さ」のメモリ領域を割り当て、そこに文字列strの内容と、文字列"*"をコピーする。そして、この領域が変数strの示す内容となる。

 このような頻繁な文字列の連結は、次のStringBuilderクラスを利用すれば劇的に高速化することができる。

高速に文字列を連結するには?

 StringBuilderクラス(System.Text名前空間)は、名前のとおり文字列を作り上げるためのクラスだ。このクラスを利用するには、まずそのインスタンスを作成する。

StringBuilder sb = new StringBuilder();

 そしてAppendメソッドを使用して、文字列をどんどん追加(連結)することができる。

sb.Append("土と");
sb.Append("風と");
sb.Append("火と");

 ちなみに、Appendメソッドは文字列追加後の自分のインスタンスを返すので、上の3行は次のように1行でも記述できる。

sb.Append("土と").Append("風と").Append("火と");

 最終的にStringBuilderクラスのインスタンスから文字列を取り出すには、次のようにしてToStringメソッドを呼び出せばよい。

string ewf = sb.ToString();

 さて、StringBuilderクラスを利用して先ほどのサンプル・プログラム(append1.cs)を書き直すと次のようになる。

// append2.cs

using System.Text;

class AppendBench2 {
  public static void Main() {

    StringBuilder sb = new StringBuilder();

    for (int i = 0; i < 100000; i++) {
      sb.Append("*");
    }
    string str = sb.ToString();
  }
}

// コンパイル方法:csc append2.cs
StringBuilderクラスを使って10万個のアスタリスクからなる文字列を作成するC#のサンプル・プログラム(append2.cs)

 このプログラムはあまり速くない筆者のPCでも一瞬で終了する。これは、StringBuilderクラスでは文字列の追加に備えてあらかじめ大きめのメモリ領域を割り当てておき、Appendメソッドではその領域に文字列をコピーするだけだからだ(コストの大きいメモリ領域の確保が毎回実行されるわけではない)。

 実際には、StringBuidlerクラスは初期化時に16byteの大きさのメモリ領域を割り当てる。そして文字列の追加によりメモリ領域が足りなくなると、そのメモリ領域を2倍の大きさに拡張する。このため上記のサンプル・プログラムでは、メモリ領域の割り当ては十数回しか発生しない。

 最初に割り当てる領域のサイズはStringBuidlerクラスのコンストラクタで指定することができるため、コンストラクタ呼び出しを次のように記述しておけば、このサンプル・プログラムをもう少しだけ高速化することができる。

StringBuilder sb = new StringBuilder(100000);

 なお、StringBuidlerクラスを使用した例は、「TIPS:ピクセルの色をHTMLカラーへ変換するには?」にも掲載しているので参考にしていただきたい。End of Article

カテゴリ:クラス・ライブラリ 処理対象:文字列
使用キーワード:連結演算子
使用ライブラリ:StringBuilderクラス(System.Text名前空間)
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