.NET TIPS [ASP.NET]アプリケーション全体で共有するデータを扱うには?(Applicationオブジェクト編)デジタルアドバンテージ2004/02/06 |
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ASP.NETには、1つのWebアプリケーション(=Webページやモジュールなどを含んでいる1つの仮想ディレクトリ)全体でグローバルなデータを保持するためにApplicationオブジェクトが用意されている。このオブジェクトは、そのWebアプリケーションに含まれているすべてのページからアクセスでき、Webアプリケーションが実行されている間(Webアプリケーション内のいずれかのページが最初にアクセスされてから、IISを再起動したりWebアプリケーションを更新したりするまでの間)は、ユーザーのセッションにかかわらず、ずっと状態が維持される。
Applicationオブジェクトは、キーとなる文字列と値のペアでデータを格納しているコレクションである。これはPageクラス(System.Web.UI名前空間)のプロパティであるため、ページを記述している.aspxファイルや、コードビハインドによりページに関連付けられているクラスで直接参照できる。なお、Applicationオブジェクトの実体は、HttpApplicationStateクラス(System.Web名前空間)のオブジェクトである。
例えばC#では、コード中で次のようにしてApplicationオブジェクトを読み書きできる。
Application["Title"] = "在庫管理アプリケーション";
string myTitle = (string)Application["Title"];
VB.NETの場合には、これは次のようにして記述する。
Application("Title") = "在庫管理アプリケーション"
Dim myTitle As String = CType(Application("Title"), String)
Applicationオブジェクトから取り出した値はObject型であるため、たいていの場合にはキャスト(型の変換)により元の型に戻してやる必要がある。
次に、Applicationオブジェクトを利用したいくつかのVB.NETのサンプル・コードを示す。
共通の定数としてApplicationオブジェクトを使用する
通常、データベース接続文字列やWebアプリケーションのタイトル文字列などは、Webアプリケーションの起動時に1度だけ値を設定しておき、各ページからは読み出しだけが行えればよい。このような用途でApplicationオブジェクトを利用する場合をまず見てみよう。
Webアプリケーションの起動時にのみ1度だけ実行したいコードは、Global.asaxのApplication_Startメソッドに記述すればよい。
Visual Studio .NETでテンプレートとして「ASP.NET Webアプリケーション」を選択して、新しいプロジェクトを作成する。この場合には、WebフォームとともにGlobal.asaxファイルが自動作成される。ソリューション・エクスプローラでこのファイルを選択してから、コードを表示させ、次の画面のように、Application_StartメソッドでApplicationオブジェクトに値を設定する。
Visual Studio .NETで編集中のGlobal.asaxファイル | ||||||
コードビハインドにより、実際のコードはGlobal.asaxに関連づけられているGlobal.asax.vbに記述する。 | ||||||
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ここでは、いま設定した文字列を画面に表示してみよう。これにはまず、ソリューション・エクスプローラでWebフォームであるWebForm1.aspxを選択し、ツールボックスよりLabelコントロールをフォーム上の適当な位置にドロップしてから、コードを表示させる。
そして、Page_Loadメソッド内に次のようなコードを記述して実行すればよい。
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Applicationオブジェクトから取り出した値を表示するコード | |
フォーム上に配置したLabelコントロールに値を表示する(実際に記述するコードは太字の部分のみ)。 |
Applicationオブジェクトを読み書きするにはロックが必要
次に、共通の変数としてページ内でApplicationオブジェクトに値を書き込む場合を考えてみよう。この場合には少し注意が必要となる。なぜなら、複数のページから同時に同一のApplicationオブジェクトにアクセスする可能性があるため、排他処理が必要となる場合があるからだ。
Applicationオブジェクトでは、そのコレクションの更新中に、ほかのセッション(ほかのユーザーによるアクセス)でのApplicationオブジェクトの更新を禁止するためにLockメソッドが用意されている。また、更新が終われば、UnLockメソッドを呼び出してほかのセッションが書き込めるようにしておく必要がある。
ここでは、あるページにおいて、そのページがアクセスされた総数をカウントし、それを表示する場合について見てみる。このためのコードは例えば次のようになる。
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ページ・カウンタを表示するためのコード | |
ページがアクセスされる度にカウンタ(Application("Counter"))を+1してから、Labelコントロールに表示する。 |
ページ・アクセスの総数をカウントしているApplication("Counter")には、初期値を設定しておく必要がある。これは先ほどと同様に、Application_Startメソッドで行えばよい。
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ページ・カウンタを初期化するためのコード | |
Global.asaxファイルのApplication_Startメソッドで記述する。 |
Application.Lock()を実行すると、Application.UnLock()を実行するまではApplicationオブジェクトはロックされるので、ほかのセッションではApplicationオブジェクトに書き込むことも読み出すこともできなくなる。このため、ロックしている時間はできる限り短い方がよい。
なお、実際には単にApplicationオブジェクトに値を書き込む場合にも、Applicationオブジェクトはロックされていて、ほかのセッションは読み書きできない。さらにいえば、Applicationオブジェクトから値を読み出す場合にも、Applicationオブジェクトはロックされる。ただしこの場合には、書き込みが禁止されるだけで、ほかのセッションが読み出すことはできる。このため、Lock/UnLockメソッドが必要となるのは、Applicationオブジェクトから読み出した値を変更し、続けて書き込むような場合である。
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ところで、ASP.NET以前のWindowsのWebアプリケーション実行環境であるASPでもApplicationオブジェクトが同様に利用できたことをご存じの方も多いだろう。実はASP.NETのApplicationオブジェクトは、ASPとの互換性のために用意されているものである。これとは別に、ASP.NETではグローバルな静的変数(VB.NETでは共有変数)を利用してアプリケーション全体で共有するデータを保持することができ、こちらの方がパフォーマンスがよい。これについては「TIPS:[ASP.NET]アプリケーション全体で共有するデータを扱うには?(静的メンバ編)」で解説している。
カテゴリ:Webフォーム 処理対象:Global.asax 使用ライブラリ:Pageクラス(System.Web.UI名前空間) 使用ライブラリ:HttpApplicationStateクラス(System.Web名前空間) 関連TIPS:[ASP.NET]アプリケーション全体で共有するデータを扱うには?(静的メンバ編) |
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「.NET TIPS」 |
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