.NET TIPS VB.NET固有の関数をC#で使用するには?デジタルアドバンテージ 遠藤 孝信2005/01/21 |
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VB.NETには、文字の全角/半角変換、ひらがな/カタカナ変換などの便利な機能が言語固有の関数として用意されている。しかしそれら関数の実体は、.NET Frameworkのクラス・ライブラリに含まれるクラスで記述されているだけなので、C#などのほかの言語からも呼び出して利用することができる。VB.NETは.NET Frameworkにデフォルトで含まれているため、実行時に特別なコンポーネントなどが必要となることもない。
本稿では、C#からVB.NETの関数を利用する場合のコーディング手順についてまとめる。
VB.NET関数の名前空間/モジュール/アセンブリについて
ほとんどのVB.NET関数は、.NET Frameworkに含まれるMicrosoft.VisualBasic.dllファイルにおいて、いくつかのクラス(名前空間はMicrosoft.VisualBasic)でstaticなメソッドとして定義されている。
こういったVB.NET関数の情報は、リファレンス・マニュアルの各関数の解説内に記載されている。例えば、VB.NETのBeep関数の解説では、「必要条件」として次のように記述されている(モジュールについては「TIPS:VB.NETのモジュールの正体は?」を参照)。
名前空間 | : | Microsoft.VisualBasic |
モジュール | : | Interaction |
アセンブリ | : | Microsoft.Visual Basic .NET ランタイム (Microsoft.VisualBasic.dll 内) |
これにより、Beep関数はMicrosoft.VisualBasic名前空間にあるInteractionクラスのstaticなメソッドで、このクラスがMicrosoft.VisualBasic.dllファイル内に含まれていることが分かる。
VB.NET関数のアセンブリの参照設定
コーディングに先立ち、まずはアセンブリの参照設定を行っておこう。参照設定はプログラムをコンパイル(あるいはビルド)する際に必要となる。またVisual Studio .NETでは、そのアセンブリに含まれるクラスに対してIntelliSenseが有効となる。
Visual Studio .NETでアセンブリの参照設定を行うには、ソリューション・エクスプローラ上でプロジェクトを右クリックして「参照の追加」を実行し、[参照の追加]ダイアログを開く。そして「Microsoft Visual Basic .NET Runtime」という名前のコンポーネントを選択して[OK]ボタンをクリックすれば参照の追加が完了する。
アセンブリの参照設定を追加するための[参照の追加]ダイアログ |
VB.NET関数を利用する場合には、「Microsoft Visual Basic .NET Runtime」を選択し、[選択]ボタンをクリックしてから、[OK]ボタンをクリックする。 |
コマンドラインからプログラムをコンパイルする場合には、次のように/reference:オプション(省略形は「/r:」)により、Microsoft.VisualBasic.dllファイルを参照する。
csc /r:Microsoft.VisualBasic.dll MyProgram.cs
VB.NET関数の呼び出し
関数の呼び出しに関しては、その名前空間をusingディレクティブにより参照し、「モジュール名.関数名」の形でメソッドを呼び出せばよい。
例えば、Beep関数を呼び出す場合の記述は次のようになる。
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VB.NETのBeep関数を呼び出すC#のサンプル・プログラム |
Microsoft.VisualBasic名前空間に含まれているVB.NET関数についての一覧は、リファレンス・マニュアルの「Visual Basic ランタイム ライブラリのメンバ」で参照することができる。
C#から呼び出して便利に使えるVB.NET関数については、本.NET TIPSで順次解説していく予定である。
カテゴリ:C# 処理対象:VB.NET関数 使用ライブラリ:Beep関数(Microsoft.VisualBasic名前空間) 関連TIPS:VB.NETのモジュールの正体は? |
「.NET TIPS」 |
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