.NET TIPS

ビルドの前後でカスタム処理を実行するには?(Visual C# .NET編)

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
2005/09/16

 Visual Studio .NET(以降、VS.NET)でプログラムを開発する場合、そのプログラムが実際に生成・更新されるビルド・プロセスの前後で、何らかのカスタム処理を行いたい場合がある。例えば、ビルド後に生成されたプログラムのファイルを、別のフォルダへコピーしたいような場合だ。

 このような場合、VS.NET 2003のC#(以降、Visual C# .NET 2003)では「ビルド・イベント」機能が活用できる(ただしこのビルド・イベント機能は、Visual C# .NET 2002やVisual Basic .NET 2002/2003には搭載されてない)。

 ビルド・イベント機能を利用するには、次の画面のように、Visual C# .NET 2003で作成したプロジェクトのプロパティを開き、[ビルド イベント]として[ビルド前のイベント コマンド ライン]や[ビルド後のイベント コマンド ライン]を設定すればよい。

Visual C# .NET 2003におけるビルド・イベントの設定
ビルド・プロセスの前後で、何らかのカスタム処理を行いたい場合には、このようにしてビルド・イベントを設定すればよい。
  VS.NET 2003のIDEの[ソリューション エクスプローラ]でプロジェクトを右クリックしてコンテキスト・メニューを表示し、そのメニューから[プロパティ]を選択する。これにより、[<プロジェクト名> プロパティ ページ]ダイアログ(この例では「WindowsApplication1 プロパティ ページ」)が表示される。
  左側のツールから[共通プロパティ]−[ビルド イベント]を選択した状態で、[ビルド前のイベント コマンド ライン]の欄に、ビルドを行う前に実行したいカスタム処理をコマンドラインで入力する。このコマンドラインの入力には、入力支援エディタを利用できる(詳細後述)
  [ビルド後のイベント コマンド ライン]の欄に、ビルドした後で実行したいカスタム処理をコマンドラインで入力する。ここでも入力支援エディタが利用できる(詳細後述)。
  [ビルド後のイベントを実行しますか?]のコンボボックスからビルド・イベントを実行するタイミングや条件(本稿の例では「ビルドが成功したとき」)を選択する。
  [OK]ボタンをクリックする。

 コマンドラインを設定する際には、次の画面のような専用の入力支援エディタが利用できる。

コマンドライン専用の入力支援エディタ
[ビルド前のイベント コマンド ライン]や[ビルド後のイベント コマンド ライン]で利用できるコマンドライン入力支援エディタ。
  [ビルド前のイベント コマンド ライン]や[ビルド後のイベント コマンド ライン]の入力欄にフォーカスがあるときに右端に表示される[...]ボタンをクリックすると、このような入力支援エディタのダイアログ(この例では[ビルド後のイベント コマンド ライン]ダイアログ)が表示される。
  コマンドライン入力欄の下に配置されている[マクロ>>]ボタンをクリックすると、Visual C# .NET 2003のプロジェクトで定義されているマクロとその値の一覧が表示される(例えば、「OutDir」というマクロには「bin\Debug\」という値が割り当てられている)。これらのマクロをコマンドラインで使用すれば、プロジェクトのプロパティの設定変更にも柔軟に対応できる。以下の手順は、マクロの使用例を示している。
  「TargetPath」というマクロを選択する。
  [挿入]ボタンをクリックすると、コマンドライン入力欄に「$(TargetPath)」というマクロの単語が追加される。これのマクロは実際に実行される際には、実際の値(本稿の例では「C:\tips\WindowsApplication1\WindowsApplication1\bin\Debug\WindowsApplication1.exe」)に展開される。

 以上の画面例のようにしてビルド・イベントを設定し、プロジェクトをビルドすると、そのビルドの前後にカスタム処理が実行される。本稿の例では次の画面のように、ビルド完了後、生成されたプログラムが別のフォルダに別ファイルとして(具体的には、「C:\copiedcopy.exe」)としてコピーされる。

ビルド・イベント機能の実行結果
ビルド完了後、生成されたプログラムが別のフォルダに別ファイルとして(具体的には、「C:\copiedcopy.exe」)としてコピーされている

 このビルド・イベント機能は、前述したようにVisual C# .NET 2003以降でしか利用できない。しかし、Visual C# .NET 2002やVisual Basic .NET 2002/2003(/2005)でもビルド・イベントの実行は不可能ではなく、これを実現する手段は別に用意されている。この方法については、「TIPS:ビルドの前後でカスタム処理を実行するには?(応用編)」で紹介している。End of Article

カテゴリ:開発環境&ツール 処理対象:ビルド
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