.NET TIPS Visual Studio 2005でデータベースの更新が反映されない場合には?[VS 2005のみ]デジタルアドバンテージ 遠藤 孝信2006/12/08 |
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Visual Studio 2005(以下、VS 2005)とSQL Server 2005 Express Edition(既定ではVS 2005と同時にインストールされる)を組み合わせてデータベース・アプリケーションを作成する場合には、データベース・ファイル(以下、DBファイル)のアタッチ機能により、従来よりも手軽に開発用のデータベースを取り扱うことができる。
ただし、この機能を利用して開発を行っていると、アプリケーションで更新したはずのデータがデータベースにまったく反映されていない(ように見える)といった状況が発生することがある。
データベース・ファイルのアタッチ機能とは?
DBファイルのアタッチ機能とは、簡単にいえば、データベースが格納されているファイル(実際には.mdfファイルと.ldfファイルのペア*)をAccessの.mdbファイルのように、VS 2005やアプリケーションから直接開くことができる機能だ。
* 通常これらのファイルはSQL Serverのサービスにより管理されているため、ファイルを操作するためにはサービスを停止しなくてはならない。 |
この機能により、テスト用に構築したデータベースのコピーに対して更新処理などをテストするといったことが可能になる。つまり、テストを実施するたびにDBファイルのコピーを使用すれば、元のDBファイルを更新することなく、常に同じテスト用データでテストができるというわけだ。
DBファイルの「出力ディレクトリにコピー」プロパティ
VS 2005で新しいデータソースの追加などを行う際に、[新しい接続]のデータソースとして「Microsoft SQL Serverデータベース ファイル」を選択し、新規あるいは既存のDBファイルを選択すれば、プロジェクト内にDBファイルを作成することができる。
以下の画面は、プロジェクトに追加したDBファイル(MyDatabase.mdf)をソリューション・エクスプローラで選択し、そのプロパティを表示しているところだ。
プロジェクトに追加されたDBファイルとそのプロパティ | ||||||
MyDatabase.mdf(とMyDatabase_log.ldf)がDBファイルである。その[出力ディレクトリにコピー]プロパティはデフォルトでは「常にコピーする」となっている。
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ここで[出力ディレクトリにコピー]プロパティに注目してほしい。この「出力ディレクトリ」とは実行ファイルが作成されるディレクトリのことで、Windowsアプリケーションをデバッグ実行する場合には、プロジェクトのあるディレクトリ配下の「bin\Debug」ディレクトリとなる。
このプロパティのデフォルトは「常にコピーする」である。つまりアプリケーションをデバッグ実行した場合には、プロジェクト内のDBファイルが毎回、bin\Debugディレクトリに(上書き)コピーされることになる。そして(デフォルトの設定では)デバッグ実行されたアプリケーションは、そのコピーされたbin\Debugディレクトリ内のDBファイルに対してアクセスを行うのである。
このため、アプリケーションの実行が終わった後に、プロジェクト内のDBファイルの内容を確認しても、当然ながらデータベースは更新されていない。更新結果を確認したいなら、この場合にはbin\DebugディレクトリにあるDBファイルを開く必要がある。もちろん、再度アプリケーションをデバッグ実行すると、そのDBファイルは上書きされてしまう。
更新したデータをデータベースに残しつつ、何度もアプリケーションを実行したい場合には、このプロパティを「コピーしない」にしておけばよい。ただしこの場合には、初回時に手動でDBファイルを実行ディレクトリにコピーする必要がある。
「新しい場合はコピーする」を選択すればデータを残しつつ、初回の手動コピーも不要だが、この「新しい場合」というのはDBファイルを新規作成した場合という意味ではなく、コピー先のDBファイルよりも元のDBファイルが新しい場合である。つまり、テーブルのスキーマを修正したりするだけでもデータベースが新しくなり、実行時にはDBファイルがコピーされてしまうため注意が必要だ。
利用可能バージョン:.NET Framework 2.0のみ カテゴリ:データベース 処理対象:SQL Server 2005 使用ライブラリ:DataGridViewコントロール |
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「.NET TIPS」 |
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