.NET TIPS 分離ストレージでディレクトリを使うには?[C#、VB]デジタルアドバンテージ 一色 政彦2007/04/19 |
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「TIPS:分離ストレージを活用するには?」では、分離ストレージの基本的な活用方法として、分離ストレージ・ファイル(Isolated Storage File)への書き込み(ファイルの作成も含む)と読み込み、ファイルの削除について説明した。このTIPSで説明しているのは、分離ストレージ環境の「ルート・ディレクトリ」にファイルを作成する方法だが、実は分離ストレージの内部では階層形式のディレクトリ環境を構築して、その任意のディレクトリ(以降、分離ストレージ・ディレクトリ)に分離ストレージ・ファイルを作成することが可能だ。
そこで本稿では、分離ストレージ・ディレクトリを作成して、その中に分離ストレージ・ファイルを作成する方法を説明する。
なお、以下の説明の中に出てくる、分離ストレージ環境を表す「IsolatedStorageFileクラス(System.IO.IsolatedStorage名前空間)」や、ファイルにデータを書き込んだり、読み込んだりするためのストリームを表す「IsolatedStorageFileStreamクラス(System.IO.IsolatedStorage名前空間)」についての詳細は、前掲のTIPSの内容をご参照いただきたい。
分離ストレージ・ディレクトリの作成
まず、分離ストレージ・ディレクトリを作成するには、IsolatedStorageFileオブジェクト(=分離ストレージ環境)のCreateDirectoryメソッド(第1パラメータ:ディレクトリ・パス名の文字列)を使用すればよい。
ディレクトリの中にサブ・ディレクトリを作成するには、その階層を「/」で区切って指定する。例えば、ルート・ディレクトリの直下に「TopLevelDirectory」というディレクトリがあり、その中に「2ndLevelDirectory」を作成する場合には、次のような形式でディレクトリ・パス名を指定すればよい。
“TopLevelDirectory/2ndLevelDirectory”
なお、一度のCreateDirectoryメソッド呼び出しで、パラメータのパス名に指定されたディレクトリおよびすべてのサブ・ディレクトリが作成される(上記の記述例で「TopLevelDirectory」が存在しない場合には、「TopLevelDirectory」と「2ndLevelDirectory」が作成される)。このため、1つ1つのディレクトリごとにCreateDirectoryメソッドを何度も呼び出す必要はない。
分離ストレージ・ディレクトリでのファイルの作成
次に、階層形式のディレクトリの中に分離ストレージ・ファイルを作成してデータを書き込んだり、読み込んだりするには、前掲のTIPSで説明したIsolatedStorageFileStreamオブジェクトを生成(new)する際のコンストラクタで、その第1パラメータに分離ストレージ・ディレクトリのパス名を含めたファイル・パス名を指定すればよい。
例えば、上記の例の「TopLevelDirectory/2ndLevelDirectory」の中に「FileName.txt」というファイルを作成する場合には、次のようなファイル・パス名を指定する。
“TopLevelDirectory/2ndLevelDirectory/FileName.txt”
分離ストレージ・ディレクトリを活用するサンプル・プログラム
それでは、実際に分離ストレージ・ディレクトリを作成して、その中に分離ストレージ・ファイルを作成するサンプル・プログラムを作成してみよう。下記のコードは、ここまでに説明した例を実際にコードにしたものだ(※太字部分が本TIPSで紹介した内容)。
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分離ストレージ・ディレクトリを活用するサンプル・プログラム(上:C#、下:VB) | ||
太字部分が本TIPSで紹介した内容。 |
分離ストレージ・ディレクトリの削除
最後に作成した分離ストレージ・ディレクトリを削除する方法を示しておこう。
これにはIsolatedStorageFileオブジェクトのDeleteDirectoryメソッドを呼び出すだけである。DeleteDirectoryメソッドは(先ほどのCreateDirectoryメソッドと同様に)そのパラメータにファイル・パス名を受け取る。
DeleteDirectoryメソッドの使い方は、先ほどのCreateDirectoryメソッドを単に置き換えるだけでOKだ。サンプル・プログラムを書いてもほとんど変わらないので割愛する。
実際にDeleteDirectoryメソッドを使う際の注意点を1つ。分離ストレージ・ディレクトリ内に分離ストレージ・ファイルが存在する場合は、ディレクトリの削除に失敗してしまう。従って、メソッドを呼び出す前に、そのディレクトリにあるすべてのファイルを削除しておかなければならない。分離ストレージ・ファイルの削除方法は、前掲のTIPSで説明している。
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今回説明した「分離ストレージ・ディレクトリを活用するサンプル・プログラム」では、ディレクトリの有無をチェックせずに作成する仕様になっているが(※ディレクトリが存在するときにCreateDirectoryメソッドを呼び出してもエラーにはならない)、「ディレクトリが存在するかどうかをちゃんとチェックしたうえでディレクトリを作成したい」という場合には、ディレクトリ名を列挙すればディレクトリの有無を調べることが可能だ。ディレクトリ名を列挙したり、ファイル名を列挙したりする方法については、後日あらためて紹介する。
カテゴリ:クラス・ライブラリ 処理対象:分離ストレージ 使用ライブラリ:IsolatedStorageFileクラス(System.IO.IsolatedStorage名前空間) 使用ライブラリ:IsolatedStorageFileStreamクラス(System.IO.IsolatedStorage名前空間) 使用ライブラリ:StreamWriterクラス(System.IO名前空間) 使用ライブラリ:StreamReaderクラス(System.IO名前空間) 使用ライブラリ:FileMode列挙体(System.IO名前空間) 使用ライブラリ:FileAccess列挙体(System.IO名前空間) 関連TIPS:分離ストレージを活用するには? |
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