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My拡張パッケージを配布するには?[VS 2008、VB]

デジタルアドバンテージ 一色 政彦
2009/08/06

 「TIPS:My拡張をパッケージ化して再利用するには?」では、独自に拡張したVB(Visual Basic)のMy機能(以降、My拡張)を、パッケージ化して、Visual Studio 2008で利用する方法を紹介した。このMy機能パッケージは、他の開発者に配布することもできる。

 実際にMy機能パッケージをVisual Studio向けに配布する場合、Visual Studioコンテンツ・インストーラが便利だ。Visual Studioコンテンツ・インストーラとは、開発者同士がVisual Studio向けのコンテンツを受け渡ししやすいように用意されたインストーラだ。インストーラ・ファイルの拡張子は「.vsi」だが、中身は単なる.zipファイルなので、ZIP圧縮可能なツール、もしくはWindows Vistaなどに付属するWindowsエクスプローラがあれば作成できる。

 以下では、「TIPS:My拡張をパッケージ化して再利用するには?」の例で作成したMy拡張パッケージ(MyAtmarkitExtention.zipファイル)を配布するための.vsiファイルを作成する。

■1. Visual Studioコンテンツ(.vscontent)ファイルの作成

 まず、Visual Studio コンテンツ・インストーラの内容を定義する「Visual Studioコンテンツ(.vscontent)ファイル」を作成する必要がある。

 .vscontentファイルは、単なるXMLファイルである。本稿の例では、「MyAtmarkitExtention.vscontent」という名前(実際には名前は任意)のテキスト・ファイルを新規に作成し、下記のコードを記述した。なお、ファイルの文字コードを「UTF-8(BOMなし)」として保存するよう注意すること。

<VSContent xmlns="http://schemas.microsoft.com/developer/vscontent/2005">
  <Content>
    <FileName>MyAtmarkitExtention.zip</FileName>
    <DisplayName>My.Atmarkit Extension</DisplayName>
    <Description>@IT/Insider.NET 作成の My 拡張</Description>
    <FileContentType>VSTemplate</FileContentType>
    <ContentVersion>1.0</ContentVersion>
    <Attributes>
      <Attribute name="TemplateType" value="Item"/>
    </Attributes>
  </Content>
</VSContent>
.vscontentファイルに記述するコード例

 上記コードの内容を説明しておこう。

 <FileName>タグ内には、My拡張パッケージのファイル名(本稿の例では「MyAtmarkitExtention.zip」)を指定する。

 <DisplayName>タグ内には、(ほかの開発者が見ても分かりやすい)My拡張パッケージの表示名を指定。

 <Description>タグ内には、My拡張パッケージの説明を指定。

 <FileContentType>タグ内は、「VSTemplate」(Visual Studioテンプレート)を指定。

 <ContentVersion>タグ内は、任意のバージョンを指定。

 <Attribute>タグは、テンプレートの種類が「項目テンプレート」であることを指定している。My拡張パッケージの中身は、基本的に項目テンプレートと同じである。

 より詳しくは「MSDN:Visual Studio コンテンツ インストーラのスキーマ リファレンス」を参照されたい。

■2. Visual Studioコンテンツ・インストーラ(.vsi)ファイルの作成

 あとは、My拡張パッケージ(本稿の例では「MyAtmarkitExtention.zip」)と、いま作成した.vscontentファイル(本稿の例では「MyAtmarkitExtention.vscontent」)を、.zipファイルとしてまとめて、拡張子を「.vsi」に変えるだけだ。

 具体的には、Windowsエクスプローラで2つのファイルを選択して右クリック。表示されるコンテキスト・メニューから[送る]−[圧縮 (zip 形式) フォルダ]をクリックすればよい。これにより、.zipファイルが生成されるので、ファイル名を「MyAtmarkitExtention.vsi」にするなど、拡張子を「.vsi」に変更する。

 以上で.vsiファイルの作成は完了だ。

■3. Visual Studioコンテンツ・インストーラ(.vsiファイル)の実行

 実際に.vsiファイルを実行してみよう。すると、次の画面のようなインストーラが表示されるので、インストールを進める。

Visual Studioコンテンツ・インストーラ(.vsiファイル)の実行例
[署名が見つかりません]などのダイアログが表示されるが、そのままインストールを進めてOKだ。

 インストールが完了すると、(基本的に)下記のフォルダにMy拡張パッケージが配置される。

「%UserProfile%\Documents\Visual Studio 2008\Templates\ItemTemplates\」

 この状態でVisual Studioを起動すると、拡張パッケージが利用できるようになっている。

 あとは、ファイル共有などを利用して、ほかの開発者にこの.vsiファイルを配布すればよい。End of Article

カテゴリ:Visual Basic 2008 処理対象:My機能
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