連載:[完全版]究極のC#プログラミングChapter10 名前空間のエイリアス修飾子と外部アセンブリ川俣 晶2009/12/14 |
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10.1 バージョンによるコード破壊
使用するライブラリなどのプログラムをバージョンアップすると、なんら変更していないコードがコンパイルエラーなどを起こす場合がある。新規に追加した名前が従来の名前と衝突して問題を起こすことがあるためだ。
このような問題を回避するために、usingエイリアスで別名を定義し、その別名を経由して扱うという方法がある。usingエイリアスとは、「using A = B;」といった構文で記述する別名の定義で、この場合はAというキーワードを記述することで、実際にはBを使用することができる。
しかし、このメカニズムは完全ではない。usingエイリアスがコード破壊を防げない例を以下に紹介する。
まず、正常に動作するコード(リスト10.1参照)から示し、次にバージョンアップでコードが破壊される追加例(リスト10.2参照)を示す。なお、ここではわかりやすさのために1本のソースコードで全体を示すが、実際には複数のソースコード、場合によっては複数のアセンブリに分散したコードが引き起こす問題である。
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リスト10.1 正常に動作するコードの例 |
このプログラムは、異なる名前空間に同じ名前のクラス(ClassA)が存在するが、より短いエイリアス名(AやB)を定義してそれを経由して区別している。
さて、このプログラムに次の1行を追加しよう。
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リスト10.2 コード破壊を引き起こす追加 |
これにより「A.ClassA.SayHello();」の部分で次のようなコンパイルエラーが発生する。
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リスト10.2をリスト10.1に追加した場合のコンパイル結果 |
つまり、それまでエイリアス名であったAと同じ名前の名前空間を定義してしまったため、名前が競合してしまったのである。1本のソースコード上であればすぐに気づいて名前を変えて回避するところだが、独立して開発されている別個のアセンブリ上で追加される名前空間名であれば、容易には名前を変更できないかもしれない。
このようなケースで、問題を容易に解決するために、C# 3.0では「名前空間エイリアス修飾子」というものが追加されている。
これを使用することで、名前の衝突という問題を名前を変更することなく解決できる。
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名前空間エイリアス修飾子を使う |
ここで使用された「::」が名前空間エイリアス修飾子である。
名前空間エイリアス修飾子は、「.」と異なり、名前空間エイリアスにのみ適用される機能である。たとえば、「A.……」と記述したとき、Aは名前空間名であったりクラス名であったり名前空間エイリアス名であったりする。しかし、「A::……」と記述すると、Aは名前空間エイリアスの名前のみを対象に探し出される。
その結果として、Aという名前の名前空間名やクラス名がいくら存在したとしても、それはいっさい関係がなくなる。たとえ、プログラムのどこかでAという名前の名前空間が追加されたとしても、それによって影響を受けることはない。
逆に、名前空間エイリアスの有効範囲は基本的に1本のソースファイル内になるので、「A::……」という記述で使われるAの定義は、必ず同じソースファイル内に存在することになる。それは、たいていの場合1人のプログラマーが自由に対処できる範囲内になるので、仮に名前の衝突という問題が起きても迅速に対処できるだろう。つまり、名前空間エイリアス修飾子「::」はコード破壊に対する有力な対処方法ということになる。
INDEX | ||
[完全版]究極のC#プログラミング | ||
Chapter10 名前空間のエイリアス修飾子と外部アセンブリ | ||
1.10.1 バージョンによるコード破壊 | ||
2.10.2 グローバルな名前空間の強制 | ||
3.10.3 アセンブリ間の名前競合の解決/練習問題 | ||
「[完全版]究極のC#プログラミング」 |
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