連載:[完全版]究極のC#プログラミング

Chapter15 LINQとクエリ式

川俣 晶
2010/03/17
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15.9 複数のソースからクエリする

 from句は1つのクエリ式に複数あってよい。複数のfrom句は、それぞれがクエリのソースとして扱われる。たとえば、整数の1から9までを提供するソース2つをfrom句で取り込めば、掛け算の九九の一覧を生成するクエリ式を記述できる(リスト15.8参照)。9個のソースが2つなので、クエリ結果は9×9=81個となる。

using System;
using System.Linq;

class Program
{
  static void Main(string[] args)
  {
    var query = from x in Enumerable.Range(1, 9)
                from y in Enumerable.Range(1, 9)
                select x + "×" + y + "=" + (x * y).ToString();

    foreach (string s in query) Console.WriteLine(s);
    // 出力:
    // 1×1=1
    // 1×2=2
    // 1×3=3
    // (中略)
    // 9×7=63
    // 9×8=72
    // 9×9=81
  }
}
リスト15.8 掛け算の九九一覧

 ちなみに、ここで使用したEnumerable.RangeメソッドはSystem.Linq名前空間にあり、.NET Framework 3.5で追加されたメソッドである。連続した整数を列挙するオブジェクトを生成して返してくれる(実際に返却される型はIEnumerable<int>型)。

 Rangeメソッドでは、第1引数で開始値を、第2引数で個数を指定する。forループでカウントすれば簡単に得られるのになぜ……と思う読者も多いだろうが、値のシーケンスを生成するオブジェクトは、リスト15.8のソースを見てわかるとおり、クエリ式と相性がとても良い。forループで同じことは書けないのである。シーケンスを生成する範囲オブジェクトを使うメリットについては、第3章で詳しく取り上げているのでそちらも参照していただきたい。


 INDEX
  [完全版]究極のC#プログラミング
  Chapter15 LINQとクエリ式
    1.15.1 LINQの面白さ
    2.15.2 LINQとは何か?
    3.15.3 「値の集まり」に対する演算
    4.15.4 なぜLINQなのか?
    5.15.5 最も基本的なLINQ
    6.15.6 LINQの本質は列挙
    7.15.7 LINQを使ううえでの注意点
    8.15.8 クエリ結果を加工する
  9.15.9 複数のソースからクエリする
    10.15.10 条件で絞り込む
    11.15.11 一部項目のみselectする
    12.15.12 シンプルなソート
    13.15.13 クエリの接続
    14.15.14 クエリ結果のグループ化
    15.15.15 複数ソースを関連付けるjoin句
    16.15.16 from句とjoin句のパフォーマンス
    17.15.17 join句のグループ化結合
    18.15.18 join句の左外部結合
    19.15.19 単独で使うDefaultIfEmptyメソッド
    20.15.20 内部列挙を伴うfrom句の二重使用
    21.15.21 let句
    22.15.22 クエリのインスタンス化
    23.15.23 クエリ結果の個数を得る
    24.15.24 Anyメソッドと存在チェック/【C#olumn】クエリ式のデバッグテクニック
    25.15.25 まとめ/【C#olumn】LINQの難しさ/【Exercise】練習問題
 
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