Insider's Eye

.NET Framework Service Pack 2のダウンロード・サービスが開始

―― ASP.NET関連を中心としていくつかの問題点を修正 ――

デジタルアドバンテージ
2002/08/10


 2002年8月8日、マイクロソフトは、.NET Frameworkに対するいくつかの修正プログラムをまとめたService Packの最新版「.NET Framework Service Pack 2」を同社のサイトで公開した。

マイクロソフトの.NET Framework SP2のページ

 Service Pack 2(以下SP2)のファイル・サイズは約5.8Mbytesである。.NET Framework SDKやVisual Studio .NETをインストールした開発環境、またはこれらの開発環境で開発された.NET対応プログラムを実行するために.NET Framework再配布パッケージをインストールした環境に対して適用する必要がある。この.NET Framework SP2は、先に公開されたService Pack 1(SP1)の内容をすべて包含している。従ってまだSP1を適用していない場合でも、SP2を適用すれば.NET Frameworkは最新の状態になる。このように特別な理由がなければ、SP2を適用すればよいのだが、何らかの事情でいまからSP1を入手してSP1だけを適用したければ、以下のリンクからダウンロードすることは可能だ。

.NET Framework SP1のダウンロード・ページ

SP2での修正ポイント

 今回のSP2で修正されるのは以下の点である。

KB番号 内容
Q316447 BUG: Debugger Stepping Misleading in Visual C# .NET Control Blocks
JP319012 Windows 2000でASP.NETページの表示が遅い
JP319083 ASP.NETでIISからREMOTE_PORTサーバー変数を取得できない
Q319177 BUG: CallContext Objects Are Lost When You Create a New Serviced Component
JP319991 ASP.NETでBinディレクトリからTemporary ASP.NET Filesフォルダへのファイルのコピーに失敗する
Q320011 System.InvalidOperationException If You Use XslTransform in Multithreaded Scenario
JP320353 3GBブートスイッチを有効にしたコンピュータでASP.NETワーカー・プロセスが開始しない
JP321552 BasePartialCachingControlクラスのRenderメソッドの書き込みで HtmlTextWriterが使用される
JP321562 複数のグループに属しているユーザーがロールベースの認証に失敗する
JP321563 高負荷の状況でEventLog.WriteEntryメソッドが失敗する
JP321792 ASP.NETワーカー・プロセス(Aspnet_wp.exe)が突然再起動される
JP321831 WebRequestクラスを使用してWeb要求を行う際の接続の問題
SP2での修正内容

 全体にASP.NETに関連する修正プログラムが多いようだ。これは想像だが、ASP.NETを利用したシステム導入が進んでいるという証拠かもしれない。

 Service Packというと、もっと長いサイクルで、まとまった分量の修正プログラムを適用するものだと思っていたが、こと.NET Frameworkについては、単独のHotfixを鋭意公開するのではなく、ある程度まとまった段階でService Packをどんどん公開していく方針のようだ(図らずも、同時期に大量の修正プログラムを含んだWindows 2000 SP3が公開された)。

 ちなみに、SP1での修正点は以下のとおりであった。前述したとおり、SP2を適用すれば、以下のSP1での修正点もすべて対応される。

KB番号 内容
JP317399 .NET Framework におけるデフォルトのマシン レベル セキュリティ ポリシーの変更について
JP316334 COM Interopマーシャラでアセンブリ間の型の対応が正しくない
JP316552 Type Library Importer(tlbimp.exe)が、特定のタイプ・ライブラリの解析に失敗する
JP319422 ローダーがTypeによって実装されたインターフェイスのアクセシビリティを確認しない
SP1での修正内容

 このようにSP1では、セキュリティに関連するものが中心であった。安定性にさえ問題がなければ、SP2の適用をためらう理由はない。まずは開発用のコンピュータなどに適用して様子を見て、特に問題がないと判断できれば、ASP.NETなどを利用してサービスを公開しているサーバに適用すればよいだろう。

.NET Frameworkバージョン

 .NET Frameworkのバージョンは、次のようになっている。

  バージョン
初期バージョン 1.0.3705.0
SP1適用後 1.0.3705.209
SP2適用後 1.0.3705.288
.NET Frameworkのバージョン番号

 現在使用している.NET Frameworkのバージョンを確認する方法は、利用しているOSによって少々異なる。具体的な手順については、次のサポート技術情報を参照されたい。

.NET Framework の Service Pack がインストール済みか確認する方法

 例えばWindows XPでは、コントロール・パネルの[管理ツール]にある[Microsoft .NET Framework Configuration]アイテムを実行し、表示されるMMCの[ヘルプ]−[.NET Framework Configurationのバージョン情報]を実行する。ここで[バージョン]に表示されるピリオド区切りの数値を見ればバージョンが確認できる。End of Article

Windows XPのMicrosoft .NET Framework Configurationで表示したバージョン番号
.NET Frameworkの現在のバージョン番号を知る方法は、OSによって異なる。これはWindows XPのコントロール・パネル−[管理ツール]にあるMicrosoft .NET Framework Configurationでバージョン情報を表示したところ。バージョンの最後の数値が「0」ならSPが適用されていない初期版、SP1適用済みなら「209」、SP2適用済みなら「288」になる。

更新履歴
【2002/08/12】冒頭で前バージョンの.NET Framework SP1について触れた部分で、当初は「SP2の公開により、SP1のダウンロード・サービスは停止されたようだ」としていましたが、これは誤りで、SP1はSP2の公開後もダウンロード可能になっており、必要であればSP1を入手して適用することも可能です。お詫びして、この修正内容に沿って記事の当該部分を訂正させていただきます。

 
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