第5回 読者アンケート結果
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VisualStudio .NETが発売されてから5カ月が過ぎた。そろそろ本格的な.NETアプリケーション開発に向けて、準備しているエンジニアも多いだろう。しかし既存環境から大きな変化を遂げた.NET開発をマスターするには、どんなレベルのエンジニアでも、それなりに学習を積む必要があるはずだ。では現在.NET開発を学ぶ上で有効な学習方法とは、どのようなものなのだろうか? Insider.NETフォーラムが実施した第5回読者調査から、読者の取組み状況をレポートしよう。
.NET開発の学習方法:まずは本を読もう
図1は、.NET開発を学習するための情報源や方法について、読者が「1. 現在までに活用している」、「2. 今後活用したいと思っている」ものをそれぞれ聞いた結果だ。まず現在の状況では、「雑誌/書籍」の活用率が約6割と頭抜けており、以下「VisualStudio .NETの添付マニュアル」、「BBS/MLなどのオンライン・コミュニティ(第三者主催)」が3割前後で続いている。やはり新しいことを学ぶ時期には、書籍のようにまとめて参照しやすい情報源が好まれるようだ。
また今後の活用意向では、引き続き「雑誌/書籍」が全体をリードする一方、オンライン・トレーニングやコミュニティといったネットメディアのポイントも高まっている。“雑誌や書籍で基礎を押さえた後は、ネット上で最新情報をフォローしたり、意見交換をしながら実践知識を深めていく”のが、平均的な学習パターンといえるかもしれない。
図1 .NET開発の情報源/学習方法 (N=418) |
.NET開発で学びたい内容:入門よりも実践知識
では上記のような学習方法を用いて、読者は現在.NET 開発のどのような内容を学ぼうとしているのだろうか?
入門系からアーキテクト系まで、12の選択肢を提示して3つまで選んでもらったところ、「.NET Frameworkクラス・ライブラリ」、「ASP.NETによるWebアプリケーション構築」、「XML Webサービス開発」および「C#プログラミング」の4点がほぼ同率で上位に挙げられた(図2)。「.NET入門」を超えてこれらの内容が求められていることからも、.NET開発が実務段階に入りつつある事が実感できる。
図2 .NET開発について学習したい内容 (N=418) |
.NET開発の学習方法については、その具体的な体験やおすすめ資料を聞いたところ、読者から多くのコメントが寄せられた。ここでは参考までに、そのいくつかを紹介しよう(表中の右列は読者のコメント)。
読者のおすすめ書籍 | |
『プロフェッショナルC#』(インプレス) | 言語体系別(VB、VC++、JAVA)にC#との相違について詳しく説明されているので、C#を学ぶ上で何を新たに知るべきかが分かりやすい |
『Visual C# .Net 実践講座』(Microsoft Press) | 比較的わかりやすい教材だと感じました(オブジェクト指向論をあえて切り捨てているので、内容がすっきりしている) |
『Visual C# .NET 基礎300の技』(技術評論社) | (本書のような)サンプル添付の書籍を利用するのが、言語利用の経験がある人には向いているのではないかと思います |
読者のおすすめサイト/オンライン・ドキュメント | |
SQL Server 2000 自習書シリーズ | 開発編No.11に『ASP.NETを用いたWebアプリケーションとXML Webサービスの開発』解説あり |
VB 6.0 ユーザーのためのVB .NET 移行ガイド 〜 やっぱり VB が好き | VB 6.0とVB.NETとの相違に関する記事(NEC関連の女性が執筆だったと思います)が大変参考になりました |
DotNetJunkies.com | 英語ですが役に立ちました |
またこれら以外にも、Insider.NETでは学習に有用なオンライン・ドキュメントやサイトへのリンクを紹介しているので、興味のある方は本文末の「関連記事」欄をチェックしてほしい。
.NET開発に必要なサードパーティ製品:UMLツールに注目
さて今回の読者調査では、.NET開発で求められるサードパーティ製品についても聞いているので、後半ではその結果を紹介しよう。
まず各種サードパーティ製品分野の中で、読者が今後の.NET開発に必要と思うものを尋ねたところ、トップ3は「UMLモデリング・ツール」、「テスト/デバッグ・ツール」、および「表計算/グラフや帳票作成/印刷などの開発コンポーネント」の順となった(図3)。このUMLツールへのニーズと、図2で見た「オブジェクト指向分析設計方法」への学習意欲を合わせて考えると、.NET開発においては上流工程を強く意識しているエンジニアが多いようだ。
図3 .NET開発に今後必要なサードパーティ製品 (N=418) |
最後に、現段階で.NET対応を発表しているサードパーティ製品への興味度を聞いた結果が、図4だ。グレープシティ(旧文化オリエント)「PowerTools for .NETシリーズ」、ボーランド「Delphi for .NET」といった老舗のサードパーティ・ベンダー製品に次いで、ラショナルソフトウェアの「Rational XDE」が上位に挙げられた。XDEはまだ国内で出荷されていないが、Java/.NET両環境をサポートするモデリング・ツールとして、今後より注目を集めそうだ。
図4 興味のある.NET対応サードパーティ製品 (N=418) |
調査概要 | |
調査方法
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Insider.NET コーナーからリンクした Webアンケート |
調査期間
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2002年7月1日〜8月2日 |
有効回答数
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418件 |
関連記事 | |
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「Insider.NET 読者調査結果」 |
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